費用効用分析(CUA)設計チェックシート
適用されるHTA等の指針を確認し、分析の用途に合う枠組みを設定してください。効用値の尺度・価値セットの選択根拠を記録し、変更する場合は理由と影響を示します。
費用効用分析(CUA)設計チェックシート
基本情報
分析の枠組みを記入する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
- 介入名(製品・プログラム名)
- 健康支援A/B(仮想)
- 対象疾患・対象集団
- 一般的な健康状態の算式例
- 比較対象(コンパレーター)
- A案
- 分析の視点(医療保険者/社会的)
- 提供者側の説明例
- 時間的地平(年)
- 1年
- 割引率(費用・QALY)
- 同一年度内の算式例なので割引を省略。実分析は制度に従う
- 準拠するHTAガイドライン
- NICEは方法参照。日本の制度への準拠は主張しない
- 作成者・作成日
- 担当A/2026年7月(仮想)
記入理由: 医療の意思決定に用いる実データではありません。
費用項目の設定
分析に含める費用カテゴリを確認する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| 費用カテゴリ | 含める/除外 | データソース | 年額・推計値 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 支援提供費用 | 含める | 説明用の仮定 | A10万円・B12万円 | 1人あたり。本人負担や他費用は実分析で検討 |
記入理由: 費用の単位をQALYの対象と合わせます。
| 費用カテゴリ | 含める/除外 | データソース | 年額・推計値 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
効用値の設定
各健康状態の効用値と出典を記録する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| 健康状態(健康ステート) | 効用値(範囲は価値セットに依存し、負値を含む場合あり) | 使用尺度(EQ-5D等) | タリフ(国名) | 出典論文・報告書 |
|---|---|---|---|---|
| Aの仮想状態 | 0.6 | 算式説明用で実尺度は未使用 | 未使用 | 出典値ではなく仮定 |
| Bの仮想状態 | 0.7 | 算式説明用で実尺度は未使用 | 未使用 | 出典値ではなく仮定 |
記入理由: 実際の効用値の範囲は価値セットに依存し、負値を含む場合もあります。この例の0.6と0.7は算式説明用の仮定です。
| 健康状態(健康ステート) | 効用値(範囲は価値セットに依存し、負値を含む場合あり) | 使用尺度(EQ-5D等) | タリフ(国名) | 出典論文・報告書 |
|---|---|---|---|---|
モデル構造の記述
分析モデル(マルコフモデル等)の構造を簡潔に記述する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
記入理由: モデルを簡略化した条件を明示します。
感度分析パラメータ
感度分析の基準値と代替設定を記録する。確率的分析を用いる場合は分布とパラメータの根拠を示す
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| パラメータ名 | 基準値 | 分布の種類 | 分布パラメータ(α/β等) | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| Bの効用 | 0.7 | 確率分布は未設定。シナリオで比較 | 0.65と0.75で再計算 | 説明用の感度設定。実測分布ではない |
記入理由: 分布のパラメータを根拠なしに捏造しません。
| パラメータ名 | 基準値 | 分布の種類 | 分布パラメータ(α/β等) | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
完成チェック
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
- ☐ 未確認: 比較対象が分析の用途と適用指針に適合し、選択根拠を説明できる
- ☐ 未確認: 効用値の尺度とタリフをHTAガイドラインに合わせた
- ☐ 未確認: 時間的地平が介入間の重要な費用・健康便益の差を捉えるか検討した
- ☐ 未確認: 費用とQALYの割引率を適用指針と分析目的に合わせ、選択根拠を示した
- ☐ 未確認: 不確実性を適切な方法で分析し、PSAやCEACの要否と実施内容を記録した
- ☐ 未確認: 健康状態を誰がどう価値付けしたかによる違いと、健康便益の分配を検討した
記入理由: 算式の説明例であり、実制度の比較対象・尺度・期間・割引・不確実性分析は未確認です。実際の価値付け方法や健康便益の分配の検討も未了です。
記入前に、使いどころと完成条件を確認
費用効用分析(CUA)設計チェックシートは、費用効用分析を会議や個人作業で実行に移すための入力シートです。手法全体の期間は「計画例:3〜12ヶ月(効用値の計測・系統的文献レビューを含む場合)」を参考に、規模・体制に合わせて見積もります。分かる欄から仮置きし、未確定事項を次の確認課題として残してください。
このシートが役立つ場面
- 新薬・医療機器・医療技術の公定価格への収載・価格設定において費用対効果を評価するとき(HTA:医療技術評価)
- 健康アウトカムが複数の次元(生存延長と生活の質改善)を持つ介入を評価し、QALYという単一指標に統合したいとき
- 異なる疾患領域にわたる複数の介入を同一の物差し(QALY/DALY)で比較し、予算配分の優先順位付けを行うとき
参加者と準備
医療経済学者(分析主担当)、臨床専門家(疾患自然史・臨床効果の確認)、統計担当(PSA)、規制担当(HTAガイドライン適合確認)。
判断に使う資料、既存データ、関係者の認識差を持ち寄ると記入が進みます。
記入の順番
- 1. 基本情報分析の枠組みを記入する
- 2. 費用項目の設定分析に含める費用カテゴリを確認する
- 3. 効用値の設定各健康状態の効用値と出典を記録する
- 4. モデル構造の記述分析モデル(マルコフモデル等)の構造を簡潔に記述する
- 5. 感度分析パラメータ感度分析の基準値と代替設定を記録する。確率的分析を用いる場合は分布とパラメータの根拠を示す
- 6. 完成チェック
完成の目安
- 費用・QALY推計表(介入群・対照群)
- ICER計算結果と費用対効果平面プロット
- 確率的感度分析(PSA)結果・CEAC
レビュー時の注意
- タリフの選択を軽視するケース — 同一患者データにUKタリフと日本タリフを適用するだけでICERが大幅に変わることがある。提出先の規制当局が指定するタリフを必ず確認する
- 時間範囲が重要な将来費用・便益を落としていないか確認する。生涯の範囲を機械的に選ばず、介入間の差を捉えられる期間と外挿の根拠を示す。
- 単一のICERだけで採否を断定しない。値・モデル・時間範囲の不確実性を分析し、適用指針が求める方法と残る限界を説明する。
記入済みの仮想例を読む(入力内容は変わりません)
説明用の仮想例です。全員が1年生存し、効用が一年中一定と仮定した1人あたりの仮想計算です。実在治療の推奨ではありません。
基本情報
- 介入名(製品・プログラム名)
- 健康支援A/B(仮想)
- 対象疾患・対象集団
- 一般的な健康状態の算式例
- 比較対象(コンパレーター)
- A案
- 分析の視点(医療保険者/社会的)
- 提供者側の説明例
- 時間的地平(年)
- 1年
- 割引率(費用・QALY)
- 同一年度内の算式例なので割引を省略。実分析は制度に従う
- 準拠するHTAガイドライン
- NICEは方法参照。日本の制度への準拠は主張しない
- 作成者・作成日
- 担当A/2026年7月(仮想)
記入理由: 医療の意思決定に用いる実データではありません。
費用項目の設定
| 費用カテゴリ | 含める/除外 | データソース | 年額・推計値 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 支援提供費用 | 含める | 説明用の仮定 | A10万円・B12万円 | 1人あたり。本人負担や他費用は実分析で検討 |
記入理由: 費用の単位をQALYの対象と合わせます。
効用値の設定
| 健康状態(健康ステート) | 効用値(範囲は価値セットに依存し、負値を含む場合あり) | 使用尺度(EQ-5D等) | タリフ(国名) | 出典論文・報告書 |
|---|---|---|---|---|
| Aの仮想状態 | 0.6 | 算式説明用で実尺度は未使用 | 未使用 | 出典値ではなく仮定 |
| Bの仮想状態 | 0.7 | 算式説明用で実尺度は未使用 | 未使用 | 出典値ではなく仮定 |
記入理由: 実際の効用値の範囲は価値セットに依存し、負値を含む場合もあります。この例の0.6と0.7は算式説明用の仮定です。
モデル構造の記述
記入理由: モデルを簡略化した条件を明示します。
感度分析パラメータ
| パラメータ名 | 基準値 | 分布の種類 | 分布パラメータ(α/β等) | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| Bの効用 | 0.7 | 確率分布は未設定。シナリオで比較 | 0.65と0.75で再計算 | 説明用の感度設定。実測分布ではない |
記入理由: 分布のパラメータを根拠なしに捏造しません。
完成チェック
- ☐ 未確認: 比較対象が分析の用途と適用指針に適合し、選択根拠を説明できる
- ☐ 未確認: 効用値の尺度とタリフをHTAガイドラインに合わせた
- ☐ 未確認: 時間的地平が介入間の重要な費用・健康便益の差を捉えるか検討した
- ☐ 未確認: 費用とQALYの割引率を適用指針と分析目的に合わせ、選択根拠を示した
- ☐ 未確認: 不確実性を適切な方法で分析し、PSAやCEACの要否と実施内容を記録した
- ☐ 未確認: 健康状態を誰がどう価値付けしたかによる違いと、健康便益の分配を検討した
記入理由: 算式の説明例であり、実制度の比較対象・尺度・期間・割引・不確実性分析は未確認です。実際の価値付け方法や健康便益の分配の検討も未了です。
判断で間違えやすいこと
満足度70点を効用0.7に読み替える
見直し方: 検証された尺度と対象制度に合う価値付けを使う
理由: 満足度点数と健康効用は同じ尺度ではないためです。
ICERが低いので予算への影響も小さいとする
見直し方: 対象人数を含む予算影響を別に見積もる
理由: 一単位の費用対効果と総支出は異なるためです。
参照資料と確認箇所
- NICE technology appraisal and highly specialised technologies guidance: Economic evaluationNational Institute for Health and Care Excellence
- 参照箇所
- 4.2.14–4.2.16 / 4.3.1–4.3.5
- 本文との対応
- QALYは期間と健康関連の効用を組み合わせた値で、尺度や価値付けの違いに注意して比較します。
- eq5d5l: A command to estimate preference-based values(EuroQol Working Paper Series 19001)Juan M. Ramos-Goñi/Jesús Oramas-Zarate/Oliver Rivero-Arias · 2019
- 参照箇所
- 1 Description(印刷p.2)
- 本文との対応
- 効用値の範囲と、元フォームの0〜1表記に関する記入例の留意点
このページの引用情報
更新履歴
- — 定義と適用条件の出典を確認し、仮想事例、判断理由、全欄の記入例を追加。未確認の歴史・普及に関する断定を整理。 既存の手順・留意点も点検し、固定的な人数・閾値や制度の一般化を調整。 入力欄の位置・型・個数を保ち、フォームの固定条件や閾値の表記を修正。


