費用便益分析 洗い出しシート
まず費用と便益を網羅的に列挙してから、貨幣換算の方法と根拠を決定してください。換算が困難な項目は欄外に記録し、省略した理由を必ず明示します。
費用便益分析 洗い出しシート
基本情報
分析の前提となる情報を記入する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
- 事業名・政策名
- 相談手続き改善
- 分析の視点(社会全体 / 政府 / 特定集団)
- 社会全体という仮定
- 分析期間(年)
- 2年
- 社会的割引率(%)とその根拠
- 5%は計算例。実分析では適用指針と根拠を確認
- 作成者・作成日
- 担当A/2026年7月(仮想)
記入理由: 将来予測を実績としません。
費用の洗い出し
初期投資・運営・維持管理・機会費用・外部不経済を年次別に列挙する。将来の選択肢の比較では既に回収不能な埋没費用を除く。事後評価では評価対象期間に生じた追加的な資源費用を含め、既支出という理由だけで除外しない
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| 費用項目 | 分類(直接/間接/外部) | 単位・数量 | 金額(年次) | 備考・根拠 |
|---|---|---|---|---|
| システムと準備作業 | 直接資源費用 | 初期導入一式 | 開始時100万円 | 全額が追加的資源費用という仮定 |
記入理由: 支出と社会的資源費用の違いは実分析で確認します。
| 費用項目 | 分類(直接/間接/外部) | 単位・数量 | 金額(年次) | 備考・根拠 |
|---|---|---|---|---|
便益の洗い出しと換算方法
直接便益・間接便益・外部経済を列挙し、換算方法と根拠を記録する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| 便益項目 | 分類(直接/間接/外部) | 換算方法(市場価格/WTP/代替市場/換算不可) | 金額(年次) | 換算根拠・出典 |
|---|---|---|---|---|
| 利用者と職員の時間の節約 | 直接便益 | 時間の貨幣評価の仮定 | 1年後・2年後に各60万円 | 説明用の仮定。実測時間・単価の根拠が必要 |
記入理由: 架空の単価を市場価格として引用しません。
| 便益項目 | 分類(直接/間接/外部) | 換算方法(市場価格/WTP/代替市場/換算不可) | 金額(年次) | 換算根拠・出典 |
|---|---|---|---|---|
換算困難・除外した便益
貨幣換算できなかった便益と、その理由を記録する(分析の限界の開示に使う)
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
記入理由: 換算しない価値をゼロとしません。
感度分析パラメータ
結論に大きく影響するパラメータと変動幅を設定する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| パラメータ名 | 中央値 | 楽観値 | 悲観値 | NPVへの影響度(高/中/低) |
|---|---|---|---|---|
| 各年の便益 | 60万円 | 70万円 | 50万円 | 高 |
| 割引率 | 5% | 3% | 7% | 中 |
記入理由: 感度の値は仮定で、実制度の率とは別です。
| パラメータ名 | 中央値 | 楽観値 | 悲観値 | NPVへの影響度(高/中/低) |
|---|---|---|---|---|
完成チェック
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
- ☑ 確認済み: 費用と便益の分析視点(社会全体/政府等)が統一されている
- ☑ 確認済み: 便益の二重計上がないことを確認した
- ☑ 確認済み: 将来の選択と事後評価を区別し、対象期間と費用範囲、埋没費用の扱いを記録した
- ☑ 確認済み: 割引率の根拠を示し、妥当な代替設定に対する結果の感応性を検討した
- ☑ 確認済み: 換算不可の便益を別途記録・開示した
- ☑ 確認済み: 感度分析の結果を報告書に含めた
記入理由: 算式例で5%と3%を比較し、3%ではNPV約14.81万円です。いずれも実事業の採択判断ではありません。
記入前に、使いどころと完成条件を確認
費用便益分析 洗い出しシートは、費用便益分析を会議や個人作業で実行に移すための入力シートです。手法全体の期間は「計画例:2〜6ヶ月(便益項目の計測・データ収集を含む場合)」を参考に、規模・体制に合わせて見積もります。分かる欄から仮置きし、未確定事項を次の確認課題として残してください。
このシートが役立つ場面
- 道路・橋梁・港湾などインフラ整備で、社会的正当性と投資優先順位を示す必要があるとき
- 規制・政策の費用と便益を比較し、選択肢間の効率性を根拠として示すとき
- 複数の代替案のなかから費用対便益が最も高い方式・規模を選択するとき
参加者と準備
経済学・財政学の専門家(分析主担当)、事業担当者・エンジニア(費用情報提供)、統計・調査担当(WTP調査)。外部レビュアーを置くことが望ましい。
判断に使う資料、既存データ、関係者の認識差を持ち寄ると記入が進みます。
記入の順番
- 1. 基本情報分析の前提となる情報を記入する
- 2. 費用の洗い出し初期投資・運営・維持管理・機会費用・外部不経済を年次別に列挙する。将来の選択肢の比較では既に回収不能な埋没費用を除く。事後評価では評価対象期間に生じた追加的な資源費用を含め、既支出という理由だけで除外しない
- 3. 便益の洗い出しと換算方法直接便益・間接便益・外部経済を列挙し、換算方法と根拠を記録する
- 4. 換算困難・除外した便益貨幣換算できなかった便益と、その理由を記録する(分析の限界の開示に使う)
- 5. 感度分析パラメータ結論に大きく影響するパラメータと変動幅を設定する
- 6. 完成チェック
完成の目安
- 費用・便益一覧表(項目別・年次別)
- NPV・B/C比・IRR計算シート
- 感度分析表(主要パラメータ別)
レビュー時の注意
- 便益の二重計上 — 例えば道路整備の便益として「時間短縮効果」と「土地価格上昇」を両方計上すると、同一便益を二度カウントする誤りになりやすい
- 便益を楽観的に、費用を過少に見積もる。類似事業の実績や推定の誤差を参照し、根拠のある調整とシナリオを説明する。
- 感度分析を省略したまま単一のNPV値だけを報告すると、不確実性が隠蔽されて意思決定者が誤った確信を持つ
記入済みの仮想例を読む(入力内容は変わりません)
説明用の仮想例です。初期費用100万円、便益は1年後と2年後に各60万円、追加費用なし、割引率5%という仮想計算です。
基本情報
- 事業名・政策名
- 相談手続き改善
- 分析の視点(社会全体 / 政府 / 特定集団)
- 社会全体という仮定
- 分析期間(年)
- 2年
- 社会的割引率(%)とその根拠
- 5%は計算例。実分析では適用指針と根拠を確認
- 作成者・作成日
- 担当A/2026年7月(仮想)
記入理由: 将来予測を実績としません。
費用の洗い出し
| 費用項目 | 分類(直接/間接/外部) | 単位・数量 | 金額(年次) | 備考・根拠 |
|---|---|---|---|---|
| システムと準備作業 | 直接資源費用 | 初期導入一式 | 開始時100万円 | 全額が追加的資源費用という仮定 |
記入理由: 支出と社会的資源費用の違いは実分析で確認します。
便益の洗い出しと換算方法
| 便益項目 | 分類(直接/間接/外部) | 換算方法(市場価格/WTP/代替市場/換算不可) | 金額(年次) | 換算根拠・出典 |
|---|---|---|---|---|
| 利用者と職員の時間の節約 | 直接便益 | 時間の貨幣評価の仮定 | 1年後・2年後に各60万円 | 説明用の仮定。実測時間・単価の根拠が必要 |
記入理由: 架空の単価を市場価格として引用しません。
換算困難・除外した便益
記入理由: 換算しない価値をゼロとしません。
感度分析パラメータ
| パラメータ名 | 中央値 | 楽観値 | 悲観値 | NPVへの影響度(高/中/低) |
|---|---|---|---|---|
| 各年の便益 | 60万円 | 70万円 | 50万円 | 高 |
| 割引率 | 5% | 3% | 7% | 中 |
記入理由: 感度の値は仮定で、実制度の率とは別です。
完成チェック
- ☑ 確認済み: 費用と便益の分析視点(社会全体/政府等)が統一されている
- ☑ 確認済み: 便益の二重計上がないことを確認した
- ☑ 確認済み: 将来の選択と事後評価を区別し、対象期間と費用範囲、埋没費用の扱いを記録した
- ☑ 確認済み: 割引率の根拠を示し、妥当な代替設定に対する結果の感応性を検討した
- ☑ 確認済み: 換算不可の便益を別途記録・開示した
- ☑ 確認済み: 感度分析の結果を報告書に含めた
記入理由: 算式例で5%と3%を比較し、3%ではNPV約14.81万円です。いずれも実事業の採択判断ではありません。
判断で間違えやすいこと
便益費用比が最大なら必ず最良とする
見直し方: 規模、予算、純便益と非金銭影響を併せて比べる
理由: 比率は生み出す純価値や公平性の全てを表さないためです。
給付金を社会全体の純便益として足す
見直し方: 誰の費用・便益かを揃え、移転を区別する
理由: 同じ給付は支払側と受取側の間の移転だからです。
参照資料と確認箇所
- The Green Book (2026)HM Treasury · 2026
- 参照箇所
- Chapter 6: Shortlist appraisal / Summary metrics of social value
- 本文との対応
- 現在価値で費用と便益を比べ、貨幣換算できない影響と重要な仮定を別に示します。
このページの引用情報
更新履歴
- — 定義と適用条件の出典を確認し、仮想事例、判断理由、全欄の記入例を追加。未確認の歴史・普及に関する断定を整理。 既存の手順・留意点も点検し、固定的な人数・閾値や制度の一般化を調整。 入力欄の位置・型・個数を保ち、フォームの固定条件や閾値の表記を修正。
- — 独立内容点検(content-check-causal)に基づく訂正。将来選択の埋没費用除外と、事後評価の対象期間内の追加的資源費用を区別してワークシートを修正。


