SROIインパクトマップ作成シート
ステークホルダーと一緒に記入することを推奨します。財務プロキシの選択は後で変更できますが、アウトカムの特定と証拠の収集が分析の信頼性の根幹です。
SROIインパクトマップ作成シート
基本情報
分析のスコープを確定する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
- 事業名・組織名
- 相談支援(仮想)
- 分析対象期間
- 1年以内の同一期間
- 主要ステークホルダー一覧
- 利用者、職員、紹介先
- 投入費用の合計(円)
- 100,000円(仮想)
- 割引率(%)
- 算式例では0%。実分析では適用期間と率を確認
- 分析実施者・実施日
- 担当A/2026年7月(仮想)
記入理由: 現金投入以外の資源も実分析で確認します。
インパクトマップ本体
ステークホルダーごとに1行ずつ記入する。アウトカムは「誰の・どんな変化」と具体的に書く
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| ステークホルダー | 投入(資源) | 活動・アウトプット | アウトカム(変化の内容) | 測定指標 | データ収集方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 利用者 | 参加時間(実分析では投入として評価) | 相談20人分(仮想) | 必要な申請を完了した | 申請完了の確認 | 本人同意と記録照合を計画 |
記入理由: 同じ成果を関係者間で重複計上しません。
| ステークホルダー | 投入(資源) | 活動・アウトプット | アウトカム(変化の内容) | 測定指標 | データ収集方法 |
|---|---|---|---|---|---|
財務プロキシと社会的価値換算
各アウトカムに適合する財務プロキシと根拠を記録する。候補の違いと代替値による影響も検討する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| アウトカム | 財務プロキシ名 | 換算単価(円) | 発生量 | 社会的価値小計(円) | 出典・根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 申請完了による仮想価値 | 説明用の仮定単価 | 12,500 | 20人 | 250,000 | 実測や市場価格ではない。実分析では価値付けを検証する |
記入理由: 仮のプロキシを確認済み財務資料としません。
| アウトカム | 財務プロキシ名 | 換算単価(円) | 発生量 | 社会的価値小計(円) | 出典・根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
インパクト調整
4要素の推計値と根拠を記入する。根拠がない場合は「推計根拠なし」と明記する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
| アウトカム | デッドウェイト(%) | 帰属:他者・他要因の寄与(%) | 逓減(%/年) | 置換・移転(displacement、%) | 調整後価値(円) | 推計根拠 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 申請完了 | 20 | 25(他者への帰属) | 対象期間後を評価しないため非該当 | 0という仮定 | 150,000 | 全調整値は算式説明用。実証された比率ではない |
記入理由: 帰属の方向と逓減の適用期間を明示します。
| アウトカム | デッドウェイト(%) | 帰属:他者・他要因の寄与(%) | 逓減(%/年) | 置換・移転(displacement、%) | 調整後価値(円) | 推計根拠 |
|---|---|---|---|---|---|---|
感度分析メモ
SROI比率に最も影響するパラメータと、値を変えた場合の比率の変化幅を記録する
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
記入理由: 最も影響する仮定を優先して検証します。
完成チェック
この項目の記入例(仮想例)
説明用の仮想例です。ご自身の事業に合わせて記入してください。入力内容は変わりません。
- ☐ 未確認: 受益者(最重要ステークホルダー)がインパクトマップ作成に参加した
- ☐ 未確認: 財務プロキシの適合性と選択根拠、出典を記録した
- ☑ 確認済み: デッドウェイトの推計に用いた比較情報と根拠を示した(仮定・不明の場合は明記)
- ☑ 確認済み: 帰属・逓減・移転の推計根拠を文書化した
- ☑ 確認済み: 感度分析でSROI比率と判断がどのように変わるかを記録した
- ☑ 確認済み: 報告書に全前提・調整値を開示した
記入理由: 当事者参画とプロキシ検証は未了です。調整値は全て仮定と明記し、算式と感度を開示した説明例です。
記入前に、使いどころと完成条件を確認
SROIインパクトマップ作成シートは、社会的投資収益率を会議や個人作業で実行に移すための入力シートです。手法全体の期間は「計画例:3〜6ヶ月(ステークホルダー協議・インパクトマップ作成・財務プロキシ調査を含む)」を参考に、規模・体制に合わせて見積もります。分かる欄から仮置きし、未確定事項を次の確認課題として残してください。
このシートが役立つ場面
- NPO・社会的企業・協同組合が投資家・行政・社会に対して事業の社会的価値を説明責任として示したいとき
- インパクト投資・社会的インパクト債(SIB)において、社会的リターンを定量化し投資判断の根拠を示すとき
- 公共調達・補助金審査で複数の提案を社会的価値の観点から比較評価するとき
参加者と準備
変化を経験した人、事業担当、費用を把握する人、分析担当。必要な立場が含まれるよう選び、人数だけを協議の品質基準にしない。
判断に使う資料、既存データ、関係者の認識差を持ち寄ると記入が進みます。
記入の順番
- 1. 基本情報分析のスコープを確定する
- 2. インパクトマップ本体ステークホルダーごとに1行ずつ記入する。アウトカムは「誰の・どんな変化」と具体的に書く
- 3. 財務プロキシと社会的価値換算各アウトカムに適合する財務プロキシと根拠を記録する。候補の違いと代替値による影響も検討する
- 4. インパクト調整4要素の推計値と根拠を記入する。根拠がない場合は「推計根拠なし」と明記する
- 5. 感度分析メモSROI比率に最も影響するパラメータと、値を変えた場合の比率の変化幅を記録する
- 6. 完成チェック
完成の目安
- インパクトマップ(ステークホルダー別アウトカム一覧)
- 財務プロキシ選定根拠資料
- インパクト調整計算シート(デッドウェイト・帰属・逓減・移転)
レビュー時の注意
- 比率を大きくする代理値だけを選ばない。関係者にとっての意味、適合性、代替値、感度分析を示す。
- ステークホルダーの声を集めず分析者だけでインパクトマップを作成する — 最も重要な受益者の視点が欠落し、実態と乖離したモデルになる
- 根拠なくdeadweightを0%としない。比較情報や当事者の証拠から検討するが、他事業の推定値を条件確認なしで転用しない。
記入済みの仮想例を読む(入力内容は変わりません)
説明用の仮想例です。投入10万円、調整前価値25万円、デッドウェイト20%、他者への帰属25%、移転0%という仮想例です。同一期間内の価値として割引を省略します。
基本情報
- 事業名・組織名
- 相談支援(仮想)
- 分析対象期間
- 1年以内の同一期間
- 主要ステークホルダー一覧
- 利用者、職員、紹介先
- 投入費用の合計(円)
- 100,000円(仮想)
- 割引率(%)
- 算式例では0%。実分析では適用期間と率を確認
- 分析実施者・実施日
- 担当A/2026年7月(仮想)
記入理由: 現金投入以外の資源も実分析で確認します。
インパクトマップ本体
| ステークホルダー | 投入(資源) | 活動・アウトプット | アウトカム(変化の内容) | 測定指標 | データ収集方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 利用者 | 参加時間(実分析では投入として評価) | 相談20人分(仮想) | 必要な申請を完了した | 申請完了の確認 | 本人同意と記録照合を計画 |
記入理由: 同じ成果を関係者間で重複計上しません。
財務プロキシと社会的価値換算
| アウトカム | 財務プロキシ名 | 換算単価(円) | 発生量 | 社会的価値小計(円) | 出典・根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 申請完了による仮想価値 | 説明用の仮定単価 | 12,500 | 20人 | 250,000 | 実測や市場価格ではない。実分析では価値付けを検証する |
記入理由: 仮のプロキシを確認済み財務資料としません。
インパクト調整
| アウトカム | デッドウェイト(%) | 帰属:他者・他要因の寄与(%) | 逓減(%/年) | 置換・移転(displacement、%) | 調整後価値(円) | 推計根拠 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 申請完了 | 20 | 25(他者への帰属) | 対象期間後を評価しないため非該当 | 0という仮定 | 150,000 | 全調整値は算式説明用。実証された比率ではない |
記入理由: 帰属の方向と逓減の適用期間を明示します。
感度分析メモ
記入理由: 最も影響する仮定を優先して検証します。
完成チェック
- ☐ 未確認: 受益者(最重要ステークホルダー)がインパクトマップ作成に参加した
- ☐ 未確認: 財務プロキシの適合性と選択根拠、出典を記録した
- ☑ 確認済み: デッドウェイトの推計に用いた比較情報と根拠を示した(仮定・不明の場合は明記)
- ☑ 確認済み: 帰属・逓減・移転の推計根拠を文書化した
- ☑ 確認済み: 感度分析でSROI比率と判断がどのように変わるかを記録した
- ☑ 確認済み: 報告書に全前提・調整値を開示した
記入理由: 当事者参画とプロキシ検証は未了です。調整値は全て仮定と明記し、算式と感度を開示した説明例です。
判断で間違えやすいこと
帰属25%を自団体の貢献として扱い、そのまま25%を掛ける
見直し方: 他者分か自団体分かを定義してから式に入れる
理由: 同じ帰属という語でも意味を逆にすると算定結果が変わるためです。
安心感に高い単価を付けて比率を上げる
見直し方: 関係者にとっての価値と比較可能なプロキシを根拠付きで選ぶ
理由: 比率を先に決めると価値の過大計上につながるためです。
参照資料と確認箇所
- A guide to Social Return on InvestmentJeremy Nicholls・Eilis Lawlor・Eva Neitzert・Tim Goodspeed/The SROI Network · 2012
- 参照箇所
- Stage 4: Establishing impact / 5.3 Calculating the ratio / 5.4 Sensitivity analysis
- 本文との対応
- 総SROIと純SROIを区別し、デッドウェイトや他者への帰属、プロキシを変えた感度を確認します。
- Standards for Applying the Principles of Social Value: The Complete SetSocial Value International · 2026
- 参照箇所
- Section Three p.30: SROI reports / social impact reports; Reporting Standard Part B p.33 items 8, 8.1–8.2 / Appendix 3 p.37: optional ratio disclosure, range, sensitivity and assumptions
- 本文との対応
- 社会的価値の測定・管理全般でSROI比率が必須という意味ではありません。SVI2026は、比率を含むSROI報告と、比率を必須としない広い社会的インパクト報告を区分します。組織向けReporting Standard Part BではSROI比率の開示は任意項目です。比率を報告する場合は感度分析、算定の仮定・判断と、範囲としての比率を説明します。
このページの引用情報
更新履歴
- — 定義と適用条件の出典を確認し、仮想事例、判断理由、全欄の記入例を追加。未確認の歴史・普及に関する断定を整理。 既存の手順・留意点も点検し、固定的な人数・閾値や制度の一般化を調整。 入力欄の位置・型・個数を保ち、フォームの固定条件や閾値の表記を修正。
- — SVI2026の報告基準p.33・p.37を補足。社会的価値測定全般での比率の任意性と、比率報告時の感度・仮定・範囲を明記。SROIの定義・算式、2012ガイド、ワークシートと記入例は維持。
- — 独立内容点検(content-check-causal)に基づく訂正。SVI2026 p.30のSROI報告と広い社会的インパクト報告の区分、およびReporting Standard Part Bの任意開示の範囲を明記。


