評価の実務ガイド

評価インタビューのやり方:質問ガイド・進め方・分析までの実務手順

評価のためのインタビュー設計、質問ガイドの作り方、聞き方、記録・分析、倫理面の注意点を実務向けに解説します。

問いから、経験の意味を読み解く

聞きたい答えへ誘導せず、数字だけでは分からない理由や過程を確かめます。 本文で詳しく読む

まず結論

評価インタビューは、対象者や関係者の経験、変化の理由、改善の示唆を深く理解するための質的調査です。評価クエスチョンに沿った半構造化の質問ガイドを用意し、相手の言葉で具体例を聞き、記録をテーマごとに整理すると、数字だけでは分からない判断材料を得られます。 [1]

アンケートで「満足した」「役に立った」という傾向が見えても、なぜそう感じたのか、誰に届いていないのかまでは分からないことがあります。インタビューは、変化の過程と文脈を扱うための方法です。

良いインタビューは、話をたくさん聞くこと自体が目的ではありません。評価で必要な問いに答えるため、誰に何を聞き、どのように解釈するかを事前に設計します。

相手の経験を確かめる聞き方をつくる

使う場面を見極め、質問、記録、テーマと例外の分析を組み立てます。

インタビューが向く場面

インタビューは、成果が生まれた理由、実施上の障害、利用者の経験、想定外の影響を理解したいときに向いています。特に新しい事業、少人数の対象者、複雑な支援、回答者の言葉を尊重したいテーマでは有効です。

一方で、全体の割合や頻度を推定するには向きません。どれくらいの人に起きた変化かを知りたい場合は、質問紙調査や利用記録と組み合わせます。

インタビューが向く場面
知りたいこと向く方法補足
変化の理由や過程インタビュー具体的な経験と背景を聞ける
全体の傾向や割合質問紙調査対象範囲と標本・非回答の偏りを点検する
実際の行動や場面観察法発言と行動の違いも確認できる
複数の証拠を統合したい混合研究法数字と語りを組み合わせる
[1]

質問ガイドの作り方

半構造化インタビューでは、事前に決めた論点を手がかりに、相手の経験に合わせて順序や追加質問を調整します。ここでは事実、具体的な場面、理由、改善案の順に聞く案を示しますが、すべての人へ同じ流れを強いる必要はありません。

「どう思いましたか」だけでは抽象的な答えになりがちです。「最後に利用したとき、どのような場面でしたか」「その後に何をしましたか」のように、時期・場面・行動を尋ねると具体性が増します。

  1. 評価クエスチョンごとに知りたい情報を整理する
  2. 回答者の経験順に質問の流れを作る
  3. 事実、具体例、理由、改善案の質問を用意する
  4. 専門用語や誘導的な表現を避ける
  5. 少人数で試し、分かりにくい質問を直す
  6. 録音・記録・匿名化の扱いを説明する
[1]

聞き方と記録のポイント

インタビュアーが説明しすぎると、回答者の言葉が出にくくなります。沈黙を急がず、相手が使った言葉を繰り返して確認し、「それは具体的にはどういうことですか」と掘り下げます。

記録は、結論だけでなく、発言の文脈、起きた時期、事実と解釈の区別を残します。録音する場合は事前に同意を得て、保存期間・閲覧者・削除方法を決めます。

  • 話しやすい導入と、調査目的の説明を用意する
  • 回答者が使った具体的な言葉と場面を確認する
  • 評価者の期待を示す質問を避ける
  • 事実、解釈、提案を記録上で分ける
  • 個人が特定される情報の扱いに注意する
[3]

分析はテーマと例外を両方見る

分析では、評価クエスチョンごとに発言を集め、共通するテーマ、異なる経験、具体例を整理します。多くの人が同じことを話したから重要なのではなく、意思決定にとって何を意味するかで解釈します。

仮説に合う発言だけを選ばず、合わない事例や反対の経験も確認します。数字と組み合わせる場合は、どの数字をどの語りで説明できるかを対応させ、過度な一般化を避けます。

  • 評価クエスチョンごとに発言を整理する
  • 共通テーマだけでなく例外や少数意見も確認する
  • 発言を結論の根拠として示す場合は匿名化する
  • 量的データと矛盾する部分を掘り下げる
  • 解釈と限界を報告書に明記する
[2]
仮想例・実績ではありません

申請を進めなかった経験を聞く

説明用の仮想例です。相談後に申請を始めなかった人から、任意で経験を聞きます。発言は架空です。

質問仮の回答解釈と次の確認
最後に手続きを進めようとした場面は書類を集めようとしたが、平日に窓口へ行けなかった時間の制約という仮説。利用可能な別手段も確認
相談で受けた説明はどう受け止めたか内容は分かったが、仕事を休めなかった理解不足と実行条件を区別
他に話しておきたいことは別の窓口で相談していた他機関の支援経路を確認

この例から判断できること

一人の語りから未申請者全員の理由を決めません。異なる経験の人や記録との違いも確認し、発言・評価者の解釈・未確認事項を分けて残します。

判断で間違えやすいこと

「説明が分かりにくかったのですね」と原因を示す

見直し方: 本人の言葉で場面と障害を説明してもらう

理由: 評価者が期待する答えを誘導しないためです。

印象的な一つの発言を全体の傾向として書く

見直し方: 対象の選び方と反対の事例も添える

理由: 深い理解と割合の推定は異なるためです。

次に手を動かす

インタビューシートで経験を尋ねる質問と追加確認を準備する

よくある質問

評価インタビューは何人に行えばよいですか?

目的、対象者の多様性、時間によって変わります。代表的な立場や異なる経験が含まれるように選び、聞いた内容が十分に理解できるかを見ながら調整します。

録音は必須ですか?

必須ではありませんが、正確な記録に役立ちます。録音しない場合は二人で記録する、直後に詳細メモを整理するなどの方法を取ります。

利用者にネガティブな意見を聞いてもよいですか?

本人が話してよいと感じる範囲で聞きます。答えない自由を伝え、支援上の扱いに影響しない方法を確保します。辛い経験を無理に語ってもらう必要はありません。

参照資料と確認箇所

  1. Interview study: qualitative studies
    Office for Health Improvement and Disparities(GOV.UK) · 2020
    参照箇所
    How to carry out an interview study / Pros / Cons
    本文との対応
    デジタルヘルス評価向け資料から、半構造化の質問ガイド、経験の掘り下げ、意見の割合を推定する限界を参照
    資料確認日: (AI照合を含む)
  2. Quality in qualitative evaluation (QQE)
    HM Treasury / Evaluation Task Force
    参照箇所
    4. The framework(Sample 7–8 / Analysis 12 / Reporting 14 / Ethics 17)
    本文との対応
    対象選定理由、異なる見方と否定事例、解釈への道筋、同意と秘密保持
    資料確認日: (AI照合を含む)
  3. Guiding Principles
    American Evaluation Association
    参照箇所
    Systematic Inquiry / Integrity / Respect for People
    本文との対応
    方法と限界の説明、誠実な報告、同意・秘密保持・危害回避
    資料確認日: (AI照合を含む)
内容更新: 資料確認日: (AI照合を含む)人の監修記録なし説明用の仮想例あり編集方針・確認範囲このページを引用訂正したい箇所を伝える

このページの引用情報

評価コンパス編集.「評価インタビューのやり方:質問ガイド・進め方・分析までの実務手順」. 評価コンパス, 2026-09-13更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/guides/interview-guide/
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更新履歴
  • — 方法の原典と実務上の整理を区別し、固有の仮想例・判断例・次の行動を追加。分類や測定条件の断定を見直し。