ひと目でわかる仕組み
- インタビューの目的と形式の決定
- インタビューガイドの作成
- 対象者の選定と同意取得
- ラポール構築と実施
- 記録と逐語録の作成
- メンバーチェックと追加確認
- コーディングと主題分析
使う場面
- 事業の実施プロセス・受益者の経験・変化の文脈を深く理解したい
- 量的調査の結果では説明がつかない「なぜ」を探りたい
- ステークホルダーの多様な視点・利害対立を把握したい
- センシティブなテーマ(被害経験・職場の問題など)で対面の関係性が必要な場合
向かない場面
- 大規模な集団の割合を推定することが主目的の場合は、標本調査等を検討する
- インタビュアーの技量が確保できない場合 — 誘導質問や不十分な掘り下げでデータが歪む
- 対象者の時間的負担が難しい場面(多忙な管理職・クライシス下の受益者等)
参加者・体制と成果物
インタビュアーと必要に応じた記録担当。対象の選定と人数は、問い、経験の多様性、分析方針、実施可能性から決める。
主な成果物
- 逐語録(Verbatim Transcript)
- コーディングシート・コードブック
- 主題分析レポート・個別インタビュー要約
実施手順
- インタビューの目的と形式の決定評価クエスチョンに照らし、構造化・半構造化・非構造化のどれが適切かを決める。比較可能性が重要なら構造化、文脈の深掘りが目的なら半構造化を選ぶ。
- インタビューガイドの作成中心となる問いと掘り下げの問いを整理する。質問数と順番は目的、面接時間、参加者の負担に応じて試行し、誘導を避ける。
- 対象者の選定と同意取得評価目的に応じた意図的サンプリング(最大多様性・典型的事例・批判的事例など)を行う。インフォームドコンセント文書を用意し、録音・録画の同意を書面で取得する。
- ラポール構築と実施開始時にインタビューの目的・匿名性・中断の権利を説明し、緊張を解くアイスブレイクを行う。傾聴・沈黙の活用・言い換え確認(パラフレーズ)・感情に配慮したフォローアップで深掘りする。
- 記録と逐語録の作成録音(同意あり)と同時に手書きメモを取る。面接メモは記憶が新しいうちに補完し、録音の逐語録は分析計画に合わせて定めた期限で作成する。重要な非言語情報(表情・沈黙・感情的な変化)をフィールドノートに記録する。
- メンバーチェックと追加確認重要な発言・解釈について対象者に確認(メンバーチェック)し、誤解や取り違えを修正する。追加質問が必要な場合は了解のうえ実施する。
- コーディングと主題分析逐語録を評価クエスチョンに沿ってコーディング(テーマ別分類)し、主題分析(Thematic Analysis)または内容分析(Content Analysis)を行う。採用する分析方式とその前提を明示する。一致率を用いる方式では複数の調査者で確認し、reflexive thematic analysisでは研究者の解釈と省察の過程を記録する。
長所と限界
長所
- 量的調査では捉えられない経験・意味・プロセスの文脈を深く把握できる
- 対象者の言葉・表現そのものが一次データになり、報告書での引用に強い
- 予期していなかった成果や問題を発見する探索的能力が高い
- フレキシブルな対話で回答の理解度確認・誤解の修正ができる
限界
- 時間とコストがかかるため、大人数への適用が難しい
- インタビュアーのスキルと対象者との関係性によってデータの質が大きく変わる
- 分析が主観的になりやすく、再現性の担保には構造的なコーディング手続きが必要
- 回答者が社会的望ましさの方向に回答を調整するバイアス(Social Desirability Bias)が生じやすい
⚠ よくある落とし穴
- 誘導質問(「〜だったんじゃないですか?」)でインタビュアーが答えを誘導してしまう — ガイドをオープン質問で設計し、複数名でレビューする
- インタビュー中にメモを取ることに集中して、傾聴・フォローアップが疎かになる — 録音を活用し、手書きメモは最小限にする
- データ量の多さに圧倒され「印象に残った発言の切り張り」で終わる — コーディングの手続きを事前に設計し、逐語録全体を分析する
適用条件と根拠
計画を使えた人・使えなかった人に聞く
説明用の仮想例です。研修受講者から、計画を使った人と使わなかった人を目的的に選びます。
| 問い | 仮想発言 | 分析メモ |
|---|---|---|
| 最後に計画を使った場面は | 会議前に上司へ見せたら議題に入った | 上司への事前相談が活用を支えた可能性 |
| 使わなかった時の状況は | 担当が替わり、会議の予定もなかった | 異動と検討機会の不足を追加確認 |
この例から判断できること
二つの語りから、職場で検討する機会を追加調査する仮説を得ます。この人数で障壁の割合や因果効果は推定しません。
判断で間違えやすいこと
研修のおかげで改善しましたねと聞く
見直し方: 何が変わり、その前後に何があったかを尋ねる
理由: 支援への肯定を求める聞き方を避けるためです。
印象的な一言を全員の意見とする
見直し方: 発言者の立場と異なる事例を併記する
理由: 目的的に選んだ語りは頻度の代表値ではないためです。
参照資料と確認箇所
- InterviewsBetterEvaluation
- 参照箇所
- Types of interviews
- 本文との対応
- 面接形式を目的に合わせ、語りの文脈と選定方法を示します。
- Thematic Analysis FAQsVirginia Braun / Victoria Clarke
- 参照箇所
- Why don’t we advocate multiple-coders and inter-rater reliability for reflexive TA?; Should someone else check my coding?
- 本文との対応
- reflexive TAでは一致率を普遍的な品質要件とせず、研究者の解釈・立場と省察を扱います。
- Public Participation Guide: Stakeholder InterviewsU.S. Environmental Protection Agency
- 参照箇所
- Principles for Successful Planning; Implementation Time (updated January 6, 2026)
- 本文との対応
- 記憶が新しいうちに面接メモを整理する助言です。録音逐語録の一律の完成期限を示すものではありません。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「インタビュー」. 評価コンパス, 2026-10-07更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/interview/
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更新履歴
- — 定義と適用条件の出典を確認し、仮想事例、判断理由、全欄の記入例を追加。未確認の歴史・普及に関する断定を整理。 既存の手順・留意点も点検し、固定的な人数・閾値や制度の一般化を調整。 入力欄の位置・型・個数を保ち、フォームの固定条件や閾値の表記を修正。
- — 限定追調査FW-U01〜U05に基づき、分析方式・記録期限・人数の適用範囲と、回答率チェックの前提を明確化。既存入力欄は維持し、数値目安自体を誤りと断定していない。

