ひと目でわかる仕組み
- 公平性の論点を定義する
- 変化の仮説に格差の視点を入れる
- 分解データを設計する
- 声を拾いにくい集団へアクセスする
- 便益と負担をサブグループ別に解釈する
- 改善責任に落とし込む
使う場面
- 事業の効果が、属性や地域によって偏っていないか確認したい
- 子ども、障がい者、外国人、低所得層など脆弱な立場の人々が対象に含まれる
- SDGsや人権、ジェンダー平等、包摂を評価基準に含めたい
- 平均値だけでなく、誰が便益を受け、誰が負担を負ったかを説明したい
向かない場面
- 対象者属性や地域差のデータがまったく取得できず、追加収集も不可能な場合
- 公平性を形式的な項目として扱い、意思決定や改善に反映する意思がない場合
参加者・体制と成果物
評価担当者、現場スタッフ、当事者団体・支援団体、データ管理者。脆弱層が含まれる場合は倫理レビューが望ましい
主な成果物
- 公平性評価マトリクス
- サブグループ別発見事項
- 包摂改善提言リスト
実施手順
- 公平性の論点を定義するこの事業で取り残される可能性のある集団、地域、属性を関係者と特定する。一般論ではなく対象文脈に即して定義する。
- 変化の仮説に格差の視点を入れるロジックモデルやToCに、到達の障壁、利用の障壁、成果の差、副作用を位置づける。
- 分解データを設計する年齢、性別、地域、障がい、所得、言語など、必要な属性でデータを分解できるよう調査票・記録様式を設計する。
- 声を拾いにくい集団へアクセスする通常のアンケートや会議では届かない人へ、通訳、合理的配慮、訪問、協力団体経由などの方法を用意する。
- 便益と負担をサブグループ別に解釈する成果の差だけでなく、参加負担、心理的負担、サービス利用の障壁、想定外の悪影響を確認する。
- 改善責任に落とし込む格差が見つかった場合、誰がどの設計・運用を修正するかを提言に明記する。公平性の発見を別添に追いやらない。
長所と限界
長所
- 平均値では見えない到達格差・成果格差・副作用を明らかにできる
- 人権、ジェンダー、包摂に関する説明責任を強化できる
- 事業改善の対象を具体的な集団・障壁に落とし込める
- 当事者の経験を評価に取り込むことで、評価の正統性が高まる
限界
- 属性別データの収集には倫理・プライバシー配慮が必要
- サブグループのサンプルサイズが小さく、統計的比較が難しいことがある
- 不平等の根本原因が事業外にある場合、提言の実施主体が複数にまたがる
⚠ よくある落とし穴
- 平均値の改善だけで成果を判断し、取り残された集団を確認しない
- 属性情報を集める理由と保護方法を説明せず、対象者の不信を招く
- 公平性の発見を『補足』扱いにして、主要結論や提言へ反映しない
適用条件と根拠
- データの分解と包摂的な参加を組み合わせ、少数者の再識別や参加負担にも配慮します。 [1]
来所条件で相談への到達が違うかをみる
説明用の仮想例です。人数と属性を説明のために作った仮想の集計です。
| 集団 | 対象者/利用者 | 利用割合 |
|---|---|---|
| 来所手段あり | 80人/48人 | 60% |
| 来所手段に制約 | 20人/4人 | 20% |
| 全体 | 100人/52人 | 52% |
この例から判断できること
平均52%の内側に40ポイントの差があります。移動の制約だけが原因と断定せず、申込方法や支援ニーズも確認します。
判断で間違えやすいこと
全体の利用率が上がれば公平とみなす
見直し方: 集団ごとの到達と負担の差を確認する
理由: 平均の改善と格差の拡大は同時に起こり得るためです。
細かい属性をすべて公開する
見直し方: 必要な集計単位と秘匿方法を決める
理由: 少人数の組合せから個人が推測され得るためです。
参照資料と確認箇所
- Technical Note on the inclusion of hard-to-reach populations and children in evaluationsSofiya Yuvshanova/UNICEF ECARO · 2025
- 参照箇所
- Executive summary; Table 2: Dimensions of equity-focused evaluations
- 本文との対応
- データの分解と包摂的な参加を組み合わせ、少数者の再識別や参加負担にも配慮します。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「公平性重視評価」. 評価コンパス, 2026-09-13更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/equity-focused-evaluation/
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更新履歴
- — 定義と適用条件の出典を確認し、仮想事例、判断理由、全欄の記入例を追加。未確認の歴史・普及に関する断定を整理。 既存の手順・留意点も点検し、固定的な人数・閾値や制度の一般化を調整。

