ひと目でわかる仕組み
使う場面
- 長期的なソーシャルチェンジを目指すが、プログラム自身がインパクトに直接責任を持てない場合
- 特定のパートナー(政府機関・地域組織・研究者等)の行動変化をモニタリングしたい
- プログラムの設計段階から関係者参加で理論を構築し、評価枠組みを一体化したい
- ネットワーク型・マルチパートナー型の介入で、誰がどの変化の中心かを整理したい
向かない場面
- 短期・単発のプロジェクトでインテンショナルデザインの工数が見合わない場合
- バウンダリーパートナーが明確に特定できない、または非常に多数にわたる介入
参加者・体制と成果物
プログラムスタッフ全員(設計段階)、バウンダリーパートナー代表者(可能であれば)、外部ファシリテーター1名。設計ワークショップには10〜20名
主な成果物
- アウトカムチャレンジ一覧
- プログレスマーカー台帳(バウンダリーパートナー別)
- アウトカムジャーナル(継続記録)
- ストラテジーマップ
実施手順
- インテンショナルデザイン:ビジョンとミッションの設定プログラムが目指す社会的ビジョン(最終的にどんな社会を実現したいか)と、プログラム自身のミッション(何をする組織か)を区別して明文化する。
- バウンダリーパートナーの特定直接協働・働きかける個人、集団、組織を特定する。必要な関係と行動変化を追える範囲に絞り、人数や組織数を固定しない。
- アウトカムチャレンジの設定各バウンダリーパートナーについて「理想的な行動変化像」をアウトカムチャレンジとして記述する。知識増加ではなく行動・関係・活動・政策の変化として記述する。
- プログレスマーカーの作成expect to see、like to see、love to seeという変化の深まりを、観察できる行動や関係として記す。段階を固定の前半・後半の期限や必須ノルマに置き換えない。
- ストラテジーマップとプラクティスの設計各バウンダリーパートナーに対してどのような戦略・介入を実施するかのストラテジーマップを作成し、自己評価のための組織プラクティスを設計する。
- 継続モニタリングと自己評価実施期間を通じてプログレスマーカーの達成状況を定期的に記録・更新する。アウトカムジャーナルへの記録と定期的なセルフアセスメントセッションを組み合わせる。
長所と限界
長所
- 直接働きかけるパートナーの行動変化に焦点を当て、事業の寄与と相手の主体的な変化を検討できる
- 3段階のプログレスマーカーが変化の深度を測る共通言語を提供する
- 設計段階から関係者が参加することでオーナーシップと学習が促進される
- 複雑な介入でも「誰が・何を変える」という構造で整理できる
限界
- インテンショナルデザインに多くの時間と専門ファシリテーターが必要
- バウンダリーパートナー以外の受益者(エンドベネフィシャリー)への直接的な影響測定は手法の範囲外
- インパクト(社会変化)への貢献の実証には別の手法(貢献分析等)が必要
⚠ よくある落とし穴
- プログレスマーカーを「活動リスト」として書いてしまう — 必ず「バウンダリーパートナーが何をする・どうなる」という行動変化として記述する
- 関わる相手を多く挙げすぎて記録が続かない。直接の関係と評価の用途に応じて追跡範囲を決める。
- 設計後にモニタリングと更新を怠り、「設計書だけ立派で評価に使えない」状態になる
適用条件と根拠
- プログレスマーカーは相手の行動の進展を示し、固定的な割合や期限の指標とは区別します。 [1]
連携窓口が自ら紹介の改善を進める
以下は説明用の仮想例です。相談支援団体が、直接協働する窓口Bの紹介実務の変化を追います。
| 段階 | マーカーの内容(行動変化として具体的に) | 達成予定時期の目安 | モニタリング方法 |
|---|---|---|---|
| expect to see | Bが紹介中断事例の振り返りに参加する | 固定期限は置かず月次に確認 | 会議記録とBの説明 |
| like to see | Bが事前連絡を手順に組み込み改善案を提案する | 変化の深まりとして確認 | 改訂手順・提案記録 |
| love to see | Bが別の窓口と自主的に学びを共有する | 到達を強制する期限は設定しない | Bが主催した共有の記録 |
この例から判断できること
会議開催回数ではなく、Bが何を行うようになったかを記録します。「love to see」は期末の必須ノルマではありません。
判断で間違えやすいこと
マーカーを「団体が研修を3回行う」と書く
見直し方: 研修後にパートナーがどんな行動を取るかを書く
理由: モニタリングの中心は相手の変化だからです。
3段階を短・中・長期の必達期限に置き換える
見直し方: 期待する反応から主体的な変化への深まりとして扱う
理由: 時期だけでは行動変化の質を表せないためです。
参照資料と確認箇所
- Outcome MappingBetterEvaluation
- 参照箇所
- Key concepts in Outcome Mapping; Intentional design; Outcome and performance monitoring
- 本文との対応
- プログレスマーカーは相手の行動の進展を示し、固定的な割合や期限の指標とは区別します。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「アウトカムマッピング」. 評価コンパス, 2026-10-07更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/outcome-mapping/
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