設計・セオリー事業設計セオリー評価アウトカム計画立案
ロジックモデル
Logic Model
別名: プログラムロジックモデル、結果連鎖(Results Chain)
事業の資源・活動・産出・成果のつながりを一枚の図に整理する、評価設計の出発点となる最も基本的なツール。事業の「設計図」として計画・評価・コミュニケーションの全てに使える。
難易度 初級 ●●●費用 低 ●●●期間 数時間〜2日(関係者ワークショップ形式を推奨)
概要
ロジックモデルは、事業が成果を生み出すまでの因果の連鎖を「投入(Inputs)→活動(Activities)→産出(Outputs)→アウトカム(Outcomes)→インパクト(Impact)」の流れで可視化するフレームワーク。1970年代の米国で発展し、W.K.ケロッグ財団の『Logic Model Development Guide』(2004)により世界的に普及した。日本でも休眠預金活用事業や自治体の行政評価、EBPM の文脈で標準的に用いられている。
評価の文脈では、「何を測るべきか(評価指標)」を決める土台となり、関係者の間で事業の目的と道筋について共通理解をつくる対話のツールとしても機能する。アウトカムを時間軸で初期・中期・長期に分けて整理するのが実務上の定石。
✓ こんな時に使う
- 新規事業の企画段階で、活動と成果のつながりを関係者と整理したい
- 評価計画の立案時に、どの段階の何を測定すべきかを決めたい
- 助成金申請・事業報告で、事業の意図を一枚で説明したい
- 既存事業の見直しで、効果が出ない原因がどの連鎖の切れ目にあるかを探りたい
✕ 向かない場面
- 因果関係が複雑で創発的な事業(コレクティブインパクト等)— セオリー・オブ・チェンジや発展的評価が適する
- 因果効果の厳密な実証が目的の場合 — ロジックモデル自体は仮説の整理であり証明ではない
実施手順
- 目的とスコープの確認誰のための・何のためのモデルかを決める。事業全体か特定コンポーネントか、粒度を関係者と合意する。
- 最終アウトカムから逆算「この事業は最終的に誰のどんな状態を実現するのか」から出発し、右(インパクト)から左(投入)へ逆向きに埋めると論理が崩れにくい。
- 各要素の書き出し投入・活動・産出・初期/中期/長期アウトカムを付箋などで洗い出す。産出(活動の直接の結果物)とアウトカム(対象者の変化)の区別を徹底する。
- 因果連鎖の検証各矢印を「もし〜ならば(if-then)」で読み上げ、飛躍がないか確認。飛躍があれば中間アウトカムを補う。
- 前提条件・外部要因の記載連鎖が成立するための前提(仮定)と、事業の外から影響する要因を欄外に明記する。ここが後の評価クエスチョンの種になる。
- 指標の割り当てと更新ルール測定すべき要素に指標を割り当て、評価デザインマトリクスへ展開。事業の進展に応じて見直す日付を決めておく。
長所と限界
長所
- 専門知識がなくても着手でき、関係者の共通言語になる
- 評価指標・評価クエスチョン設定の土台として直接使える
- 一枚で事業の全体像を説明でき、資金提供者への説明に強い
- 事業の弱い仮定(飛躍)を早期に発見できる
限界
- 線形の因果を前提とするため、複雑・創発的な変化の表現には不向き
- 「作って終わり」になりやすく、更新されないと形骸化する
- モデル上の論理が現実に機能している保証はない(あくまで仮説)
⚠ よくある落とし穴
- 産出(Output)とアウトカム(Outcome)の混同 — 「研修を10回実施」は産出であり、参加者の行動変化がアウトカム
- アウトカムの欲張りすぎ — 事業規模に対して壮大すぎる長期アウトカムを掲げ、評価不能になる
- 事務局だけで作成し、現場・受益者の視点が抜けたモデルになる