ひと目でわかる仕組み
- 利用可能な二次データの探索
- データの品質評価(メタデータ分析)
- データのアクセスと取得
- データクリーニングと前処理
- 分析の実施
- データの限界と解釈上の留意点の記述
使う場面
- 新規データ収集なしに事業対象地域・集団の背景情報や変化傾向を把握したい
- 自治体の行政記録や統計データでアウトカム指標を補完したい
- 長期的なトレンド・比較集団のベースライン構築に利用したい
- 限られた評価予算で量的なエビデンスを確保したい
向かない場面
- 評価目的に合致する変数がデータに含まれていない場合 — 一次データ収集が必要
- データの収集時期・対象が評価対象と大きく異なる場合 — 比較が無効になる
- データのアクセス・利用規約が評価での使用を制限している場合
参加者・体制と成果物
データアナリスト1〜2名。データ取得に管理部門との調整が必要な場合がある
主な成果物
- データ源一覧(メタデータ評価付き)
- クリーニング済み分析データセット(コード・手順書付き)
- 定量的分析レポート(限界の明示を含む)
実施手順
- 利用可能な二次データの探索評価クエスチョンに関連するデータ源を系統的に調べる。e-Stat・政府統計・国際機関サイト・自治体オープンデータポータル・既存調査データアーカイブ(SSJDA等)を検索し、変数・サンプル・時期の適合性を一覧化する。
- データの品質評価(メタデータ分析)各データについてメタデータを確認する:収集目的・対象母集団・サンプリング方法・収集時期・欠損値の扱い・定義の変更履歴。自分の評価目的との「ズレ」(カバレッジ・時期・変数定義)を明示的に記録する。
- データのアクセスと取得利用規約・個人情報保護・二次利用の許諾条件を確認する。匿名加工済みマイクロデータの利用申請(SSJDA・各省庁統計課等)、API取得、ダウンロードなど適切な手続きを経てデータを取得する。
- データクリーニングと前処理欠損値・外れ値・コーディングの一貫性を確認する。複数データの結合(地域コード・時期の統一)を行う場合、結合キーの正確さを検証する。前処理の全手順をスクリプト(R・Python・Excel)として記録し、再現可能性を確保する。
- 分析の実施評価クエスチョンに沿った分析を行う。記述統計・トレンド分析・地域間比較・グループ間比較など、データの性質に応じた手法を選ぶ。プログラム対象地域と非対象地域の比較、事業前後の時系列比較など、比較設計を組み込む。
- データの限界と解釈上の留意点の記述分析結果を報告する際、使用データの収集目的・時期・対象と評価目的との「ズレ」を必ず明記する。データの制約による結果の過大・過小解釈のリスクを読者に伝え、一次データ収集の補完が必要な点を明示する。
長所と限界
長所
- 新規データ収集のコスト・時間をかけずに大規模・長期的な量的データを利用できる
- 行政データ・センサスは一次調査では到達困難な規模と網羅性を持つ
- 長期時系列での変化傾向や比較集団の構築に強い
- EBPM・エビデンス整理の文脈で既存データの再利用が期待されている
限界
- データが評価目的のために設計されていないため、必要な変数が含まれないことがある
- 収集時期・対象・定義の違いが比較分析を複雑にする
- データの利用規約・個人情報保護の制約でアクセスが難しい場合がある
- 二次データの限界を適切に評価・報告しないと、誤った結論を導くリスクがある
⚠ よくある落とし穴
- 「使えるデータから評価クエスチョンを作る」という本末転倒 — まず評価クエスチョンを決め、それに必要なデータを探す順序を守る
- データ提供者の定義変更(集計単位の変更・調査項目の改定)に気づかず、長期トレンドの誤読をする — メタデータと調査年報の「調査方法の変更」欄を必ず確認する
- データの限界を本文の末尾だけに隠さない。結論に関係する収集目的・定義・対象の違いや欠損を、結果と合わせて明記する。
適用条件と根拠
- 既存記録の欠落と作成後の変更を考慮し、評価目的との適合を判断します。 [1]
相談記録の件数と人数を読み分ける
説明用の仮想例です。仮想の相談台帳を使って利用の広がりを調べます。
| 項目 | 台帳の値(仮想) | 解釈 |
|---|---|---|
| 相談件数 | 120件 | 同じ人の再相談を含む |
| 識別可能な利用者 | 80人 | 重複を確認できた範囲 |
| 識別子がない記録 | 10件 | 利用者数の集計には追加確認が必要 |
この例から判断できること
120件を120人に読み替えません。識別できない10件を含めた実人数は確定できないと報告します。
判断で間違えやすいこと
新旧年度の値を定義を見ずに比較する
見直し方: 集計基準と記録方法の変更を確認する
理由: 見かけの増減が制度や記録の変更で生じることがあるためです。
公開データなら個票を自由に結合する
見直し方: 利用条件と再識別の可能性を確認する
理由: 単独で匿名でも結合で個人が分かる場合があるためです。
参照資料と確認箇所
- Existing documentsBetterEvaluation
- 参照箇所
- Types of existing documents / Advice for using this method
- 本文との対応
- 既存記録の欠落と作成後の変更を考慮し、評価目的との適合を判断します。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「二次データ活用」. 評価コンパス, 2026-09-13更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/secondary-data/
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更新履歴
- — 定義と適用条件の出典を確認し、仮想事例、判断理由、全欄の記入例を追加。未確認の歴史・普及に関する断定を整理。 既存の手順・留意点も点検し、固定的な人数・閾値や制度の一般化を調整。 入力欄の位置・型・個数を保ち、フォームの固定条件や閾値の表記を修正。

