相談件数と申請への前進を書き分ける
説明用の仮想例です。生活相談を受けた20人に、その後の支援利用を確認します。
| 記録 | 仮の結果 | 判断 |
|---|---|---|
| 産出 | 20人へ相談を提供 | 支援が届いた人数 |
| 状況を把握できた人 | 20人中15人 | 5人の状況は不明 |
| 行動の変化 | 把握した15人中9人が申請を開始 | 把握できた人の60%。相談者全員の60%とは書かない |
この例から判断できること
申請を始められなかった6人の理由と、状況不明の5人を分けて報告します。申請開始は生活改善そのものではありません。
判断で間違えやすいこと
相談件数が増えたので生活が改善したと書く
見直し方: 相談提供量と、その後に起きた手続きや生活の変化を分ける
理由: 利用機会が増えたことだけでは対象者の状態を説明できないためです。
追跡回答者の割合を相談者全員の割合として示す
見直し方: 分子・分母と追跡できなかった人数を併記する
理由: 状況を把握できなかった人の結果は未確定だからです。
アウトプット評価だけを行い「事業は成功した」と結論づける
見直し方: 実施できたことと、対象者に起きた変化を別の欄に書く
理由: 届いた量は、変化が起きた証拠にならないためです。
次に手を動かす
指標設計シートで実施量と対象者の変化の指標を別々に定義する
よくある質問
output と outcome の違いは何ですか?
outputは事業が直接生み出した提供物・サービス、outcomeはそれを受けた対象者や組織に生じた変化です。日本語のアウトプット・アウトカムと同じ区別で、英語の資料でもoutputは実施したこと、outcomeは起きた変化として読み分けます。ただし知識・技能の変化をどちらに置くかは資料によって異なります。
アウトプット指標とアウトカム指標の違いは何ですか?
アウトプット指標は提供したものやサービスの実施量と到達範囲を測り、アウトカム指標は対象者の行動・状態の変化を測ります。対象者の変化が記録されていれば、業務・行政記録もアウトカムのデータ源になります。何を測るかと確認時期を定め、割合なら分子・分母、質的な指標なら観察対象・判断基準を示してください。
参加者数はアウトカムですか?
通常はアウトプットです。参加者数は事業が届いた量を示しますが、参加者に起きた変化ではありません。
満足度はアウトカムですか?
反応や初期的な変化として扱えますが、成果を示すには理解・行動・状態の変化と組み合わせる方がよいです。
アウトカムとインパクトはどう違いますか?
インパクトは、より上位の重要な影響を指し、意図しない影響や負の影響も含みます。長期アウトカムの言い換えではなく、因果効果を検証する「インパクト評価」という手法名とも範囲が一致しません。どの意味で使うかを文書内で示してください。
アウトカムは必ず数値化すべきですか?
数値化できると比較しやすいですが、質的な変化や事例も重要です。評価目的に合わせて組み合わせます。
参照資料と確認箇所
- Glossary of Key Terms in Evaluation and Results-Based Management for Sustainable Development (Second Edition)OECD · 2023
- 参照箇所
- Outcomes / Outputs(本文 p.45)
- 本文との対応
- 産出と成果の定義、および知識・技能変化の分類が枠組みによって異なること
- Glossary of Key Terms in Evaluation and Results-Based Management for Sustainable Development (Second Edition)OECD · 2023
- 参照箇所
- Indicator(本文 p.38)/Target(本文 p.59)
- 本文との対応
- 指標が状態や進捗を捉える量的・質的な項目であること、および目標値を指標と分けて扱うこと
- CDC Program Evaluation Framework, 2024Centers for Disease Control and Prevention · 2024
- 参照箇所
- Step 4: Gather Credible Evidence — Indicators / Data Sources
- 本文との対応
- 産出・アウトカム等を指標で測ることと、業務・行政記録もデータ源になること。記録の種類ではなく測る内容で区別します。
このページの引用情報
更新履歴
- — ガイド横断点検で、指標の形式、成果区分と因果判断、表の読み方、SVI2026の適用範囲を該当箇所で明確化。
- — CDC 2024 Step 4 に照らし、データ源の種類で産出・アウトカムを区別する説明を訂正。業務・行政記録でのアウトカム測定と、変化・判断に合わせる測定時期を明記。
- — 「アウトプットとアウトカムの違い」を主題に再構成。6観点の比較表、3事業の仮想例、アウトプット評価とアウトカム評価、指標の作り分け、英語表記のFAQを追加。
- — 用語の出典と適用範囲、仮想の完成例、誤った判断の修正例を追加。






