評価の実務ガイド

ロジックモデルとは?作り方・具体例・テンプレートを評価実務向けに解説

ロジックモデルの意味、アウトカムとの関係、作り方、具体例、よくある失敗、テンプレート活用まで評価実務者向けに解説します。

資源から変化まで、道筋を描く

矢印は、成果に至ると考える仮説を表します。

このガイドで使う5要素の整理です。図を作っただけで効果が証明されるわけではありません。 本文で詳しく読む

まず結論

ロジックモデルとは、事業の資源、活動、直接の産出、対象者や組織の変化を結び付け、成果に至る仮説を表す図です。構成は目的に合わせて変えられます。図を作っただけで効果が証明されるわけではなく、指標や評価クエスチョンを検討する土台にします。 [1]

事業がどのように成果へつながると考えているかを関係者と確認したいときに使います。助成事業、自治体施策、研修、NPO事業でも、想定している変化とその前提を一枚に出すと、確かめるべき点を話し合いやすくなります。

一方で、作り方を間違えると「活動一覧」や「きれいな図」で終わります。重要なのは、活動ではなく対象者の変化を中心に置くことです。

ロジックモデルを組み立てる

要素を確かめ、望む変化から逆算して、前提を点検します。

このガイドで使う5つの要素

このガイドでは投入、活動、産出、アウトカム、インパクトで整理します。これは一つの書き方です。投入は資源、活動は実施内容、産出は提供物・サービス、アウトカムは期待する変化、インパクトはさらに広い重要な影響を指します。短期・中期・長期のアウトカムで表すモデルもあります。

注意したいのは、産出とアウトカムの混同です。たとえば「セミナーを10回開催」は産出であり、「参加者が自組織で評価指標を設計できるようになった」がアウトカムです。

知識や技能の変化をどの段階に置くかは資料によって異なります。OECDの2023年用語集は、活動が直接生む知識・技能の変化をOutputsに含めています。本サイトの例では研修後の学習を短期アウトカムとして扱いますが、提出先が指定する用語・様式に合わせて明記してください。

  • 投入: 人員、予算、教材、会場、時間
  • 活動: 研修、伴走支援、調査、相談、広報
  • 産出: 実施回数、参加者数、作成物、配布数
  • アウトカム: 知識、態度、行動、関係性、状態の変化
  • インパクト: 重要な上位の正負の影響(意図しない影響も含む)
[1] [2]

作り方の一例:望む変化から逆算する

ここでは、誰にどのような変化を起こしたいかから逆算する進め方を提案します。中間変化、初期変化、産出、活動、投入を戻って考えた後、現場で実行できるかを確認します。既存事業なら、現在の活動から整理して両方向に点検してもかまいません。

完成後は各矢印を「もしAが起きればBが起きるはず」と読み上げます。違和感がある箇所は、因果の飛躍があるか、前提条件が抜けています。

  1. 対象者と最終アウトカムを決める
  2. 最終アウトカムに至る中間アウトカムを置く
  3. 活動の直接結果である産出を整理する
  4. 産出を生む活動と投入を確認する
  5. 前提条件と外部要因を書き出す
  6. 測定したい箇所に評価指標を割り当てる
実務上の整理・提案

具体例: 研修事業のロジックモデル

以下は説明用の仮想例です。評価研修の活動を「演習を実施する」、産出を「受講者12人が計画案を提出」、初期アウトカムを「設問と指標の対応を説明できる」、中期アウトカムを「職場で収集項目を合意する」、長期アウトカムを「評価結果を事業改善に使う」と整理します。

満足度だけでは職場での活用は分かりません。この例では研修後の会議での利用を追います。確認時期は会議日程と実践機会に合わせ、活用を妨げる時間や上司の協力も記録します。

実務上の整理・提案

よくある失敗と修正ポイント

ロジックモデルが機能しない理由の多くは、図の美しさではなく、言葉の粒度と関係者の合意不足にあります。特にアウトカムが抽象的すぎると、評価指標に落とせません。

「地域が活性化する」「意識が高まる」だけでは測定が難しいため、「誰が、どの場面で、どんな行動を取るようになるか」まで具体化します。

  • 活動と成果を混ぜない
  • アウトカムを対象者の変化として書く
  • 長期アウトカムを事業規模に合わせる
  • 外部要因を欄外に明記する
  • 作成後に評価指標へ接続する
実務上の整理・提案
仮想例・実績ではありません

研修から職場の合意までをつなぐ

説明用の仮想例です。NPO職員12人向けに評価計画研修を行います。

段階記入例確認する資料
産出12人が計画案を提出提出記録
短期アウトカム問いと指標の対応を説明できる演習時の説明と修正履歴
中期アウトカム次の職場会議で収集項目を合意する同意のある範囲で確認する会議記録
前提職場に検討時間と決定権がある参加者と上司への確認

この例から判断できること

提出数と活用を分けます。計画案が提出されても会議で使われなければ、教材の問題か、実践機会の問題かを確かめます。

判断で間違えやすいこと

研修をしたら組織全体が改善すると直接つなぐ

見直し方: 計画案、職場合意、データ収集、改善判断の段階を挟む

理由: 事業の力が及ぶ範囲と、途中で途切れる可能性を確認するためです。

完成した図を効果の証拠として提出する

見直し方: 図は仮説と記し、検証に使う記録や比較方法を別に示す

理由: 因果関係を描くことと、現実に確かめることは別だからです。

次に手を動かす

自分の事業の産出と変化を一つずつ書き、間の前提を確認する

よくある質問

ロジックモデルとセオリー・オブ・チェンジの違いは?

ロジックモデルは活動と成果の関係を表す図で、セオリー・オブ・チェンジを示す方法にも使えます。一律の境界ではなく、どの変化の経路を表し、矢印の前提と根拠をどこまで説明するかで整理してください。

ロジックモデルは誰と作るべきですか?

事業担当者だけでなく、現場スタッフ、管理職、可能であれば受益者や関係機関も加えると、現実に近いモデルになります。

ロジックモデルだけで効果は証明できますか?

できません。ロジックモデルは因果仮説の整理です。効果を検証するには、指標設計、データ収集、比較設計などが必要です。

参照資料と確認箇所

  1. CDC Program Evaluation Framework, 2024
    Centers for Disease Control and Prevention · 2024
    参照箇所
    Step 2: Describe the Program
    本文との対応
    活動・成果・前提を関係づけるモデルと、状況に応じた見直し
    資料確認日: (AI照合を含む)
  2. Glossary of Key Terms in Evaluation and Results-Based Management for Sustainable Development (Second Edition)
    OECD · 2023
    参照箇所
    Outcomes / Outputs(本文 p.45)
    本文との対応
    産出と成果の定義、および知識・技能変化の分類が枠組みによって異なること
    資料確認日: (AI照合を含む)
内容更新: 資料確認日: (AI照合を含む)人の監修記録なし説明用の仮想例あり編集方針・確認範囲このページを引用訂正したい箇所を伝える

このページの引用情報

評価コンパス編集.「ロジックモデルとは?作り方・具体例・テンプレートを評価実務向けに解説」. 評価コンパス, 2026-10-07更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/guides/logic-model/
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更新履歴
  • — ガイド横断点検で、指標の形式、成果区分と因果判断、表の読み方、SVI2026の適用範囲を該当箇所で明確化。
  • — 用語の出典と適用範囲、仮想の完成例、誤った判断の修正例を追加。