分析・統合エビデンス統合政策形成研究ギャップ体系的レビューEBPM

エビデンスギャップマップ

Evidence Gap Map
別名: EGM、証拠ギャップマップ、エビデンスマップ

介入の種類とアウトカムを行列化し、既存のインパクト評価や体系的レビューがどこに多く、どこに不足しているかを可視化するエビデンス活用手法。

難易度 上級 ●●●費用 ●●期間 小規模で2〜6週間、本格版は2〜6か月

概要

エビデンスギャップマップ(Evidence Gap Map: EGM)は、政策・事業領域に関する既存研究を、介入カテゴリとアウトカムカテゴリの2軸で整理し、証拠が蓄積している領域と不足している領域を可視化する手法。3ieが国際開発分野で実務化し、EBPM、研究資金配分、評価計画の優先順位づけに使われている。

通常の文献レビューが文章で知見をまとめるのに対し、EGMは「どこに研究があるか/ないか」を一目で把握できる。セルごとにインパクト評価、体系的レビュー、質の評価、地域、対象集団などを紐づけることで、既存証拠を活用すべき領域、新しい評価が必要な領域、研究は多いが質が不十分な領域を判断できる。個別事業の評価というより、評価・研究ポートフォリオを設計するための上位手法である。

✓ こんな時に使う

  • 新規事業や政策領域で、既存エビデンスの全体像を把握したい
  • どのテーマに追加評価や研究投資をすべきか優先順位を決めたい
  • 助成財団・行政・研究機関で、エビデンス構築戦略を作りたい
  • 評価計画の前に、既に分かっていることと未検証のことを分けたい

✕ 向かない場面

  • 単一事業の短期改善に必要な現場情報を得たい場合
  • 文献検索・スクリーニング・品質評価を行う体制がない場合

実施手順

  1. スコープと問いを決める
    対象領域、介入、アウトカム、対象国・地域、文献の種類、期間を定義する。広すぎると実行不能になる。
  2. 行列の軸を設計する
    介入カテゴリとアウトカムカテゴリを実務者が使える粒度で作る。カテゴリは重複しすぎないよう整理する。
  3. 検索戦略を作る
    データベース、機関サイト、灰色文献、検索語、除外基準を文書化する。再現性のために検索日も記録する。
  4. 文献をスクリーニングする
    タイトル・抄録・本文の順に基準に合う文献を選別する。2名レビューや抜き取り確認で選別の一貫性を高める。
  5. 品質と属性をコーディングする
    研究デザイン、対象者、地域、アウトカム、品質評価、主要結論などをコード化し、行列に配置する。
  6. ギャップと過密領域を解釈する
    証拠がない領域、レビューが必要な領域、追加評価の優先領域を関係者と意味づけする。

長所と限界

長所

  • 既存エビデンスの分布を視覚的に把握できる
  • 評価・研究投資の重複を避け、ギャップへ資源を向けられる
  • 政策担当者や助成機関に説明しやすい成果物になる
  • 学習アジェンダや評価計画の上流で使うと効果が大きい

限界

  • 研究の有無を示す手法であり、単独で効果の結論を出すものではない
  • 検索範囲やカテゴリ設計により、見えるギャップが変わる
  • 本格的に行うには文献レビューと品質評価の専門性が必要

⚠ よくある落とし穴

  • 地図を見て『証拠が多い=効果がある』と誤解する
  • 検索戦略を文書化せず、再現できないエビデンスマップにする
  • 実務者が使えない細かすぎるカテゴリで行列を作る