ひと目でわかる仕組み
- 評価目的の確認
- 情報ニーズの収集
- 問いの候補リストの整理
- KEQ の選定と絞り込み
- KEQ の構造化
- 判断基準の設定
- 関係者との合意
使う場面
- 評価計画の策定初期段階で、評価の焦点と範囲を関係者と合意するとき
- 評価の発注者(コミッショナー)と評価者(実施者)が評価の目的と成果物について共通理解を形成するとき
- ロジックモデルや ToC が完成した後、「どの仮説・経路を評価するか」を選択するとき
- 評価デザインマトリクスを作成する前の、問いの整理ステップとして
向かない場面
- 評価の目的・利用者・活用方法が全く明確でない段階 — まずステークホルダー分析と評価可能性アセスメントが先
- 問いが既に固定された定型フォーマット評価(標準化測定ツール等)の場合
参加者・体制と成果物
主要な評価利用者・事業担当者・対象者の代表・評価者。必要な関心と視点を踏まえて構成する。
主な成果物
- 主要評価クエスチョン(KEQ)リスト(各問いの根拠・判断基準付き)
- 評価設計の合意文書(Terms of Reference への統合)
実施手順
- 評価目的の確認「誰がなんのためにこの評価を行うのか」を明確にする。形成的(改善のため)か総括的(説明責任・判断のため)か、一次利用者は誰かを特定する。
- 情報ニーズの収集主要ステークホルダーにインタビューやアンケートで「評価から何を知りたいか」を収集する。多様な立場の問いを収集し、優先順位をつける前に広く集める。
- 問いの候補リストの整理収集した情報ニーズを問いの形に整理する。「何が」「どれだけ」「なぜ」「誰に」「どのように」の5Wを意識して具体化する。
- KEQ の選定と絞り込み評価の利用目的、資源、期限に照らし、重要で答えられる主要な問いを選ぶ。問数の固定ノルマではなく、意思決定に必要な範囲で絞り込む。
- KEQ の構造化主要な問いを、何を確認すれば答えに近づくかという下位の問いに分ける。必要な数は内容に応じて決める。
- 判断基準の設定各 KEQ に対して「何をもって十分/不十分と判断するか」の基準を明示する。基準が不明確だと評価結論が恣意的になる。
- 関係者との合意最終的な KEQ リストをコミッショナー・主要ステークホルダーと共有し、評価設計の合意文書(ToR の一部)として確定する。
長所と限界
長所
- 評価の焦点が明確になり、データ収集・分析・報告の一貫性が生まれる
- ステークホルダーの情報ニーズを反映した評価になり、結果の活用可能性が高まる
- 評価デザインマトリクスの骨格として、評価の全工程を構造化できる
限界
- 問いの設定段階での関係者の関与が不十分だと、評価途中でスコープ変更が起きやすい
- KEQ が「測れるものだけ」になりやすく、重要でも測りにくい問いが排除されるリスクがある
- 評価実施中に状況が変化し、当初の問いが陳腐化することがある
⚠ よくある落とし穴
- 「何を改善するか」という問いが多すぎて、判断・説明責任のための問いが後回しになる
- KEQ が抽象的すぎて(「事業は効果的だったか」)、測定計画に落とし込めない
- 依頼者の希望する答え(advocacy)を暗黙の前提として、問い自体が誘導的になる
- KEQ リストが確定後に変更不可として固定化され、学習や状況変化に対応できない
適用条件と根拠
- プロセスの問いとアウトカムの問いを区別すると、実施の問題と成果の問題を整理できます。 [1]
次年度の相談時間帯を決めるための問い
以下は説明用の仮想例です。窓口の継続利用が少ないため、次年度の受付方法を見直します。
| ステークホルダー | 知りたいこと(問いの候補) | 優先度(高・中・低) |
|---|---|---|
| 利用者・未利用者 | 今の時間帯と申込方法で相談できるか | 高 |
| 窓口責任者 | 受付を変えるとどんな負担が生じるか | 高 |
この例から判断できること
利用件数だけを問うと、営業時間が合わない人の事情が見えません。件数を確かめる問いと、利用できた条件を確かめる問いを組み合わせます。
判断で間違えやすいこと
「何人利用したか」だけで成功の判断まで行う
見直し方: 必要な対象者に届いたか、届かない理由は何かも問う
理由: 人数は到達の質やアクセスの障壁を説明しないためです。
主要な問いに調査票の全設問を並べる
見直し方: 主要な判断と、それに答える小さな設問を階層化する
理由: 評価の焦点と収集項目を混同しないためです。
参照資料と確認箇所
- Identifying evaluation questionsAustralian Institute of Family Studies · 2019
- 参照箇所
- How to develop evaluation questions; Process questions / Outcome questions
- 本文との対応
- プロセスの問いとアウトカムの問いを区別すると、実施の問題と成果の問題を整理できます。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「評価クエスチョン設定」. 評価コンパス, 2026-10-07更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/evaluation-questions/
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