ひと目でわかる仕組み
使う場面
- 評価クエスチョン(KEQ)が確定した後、データ収集・分析の具体的な計画を立てるとき
- 複数のデータ収集手法(量的・質的)を組み合わせる評価で、各手法の役割を整理するとき
- 評価チームが複数人いる場合に、各メンバーの担当・役割分担を明確にするとき
- 評価コミッショナーや出資者に評価の全体設計を説明・合意するとき
向かない場面
- 評価クエスチョンがまだ確定していない段階 — まず KEQ の設定を完了させる
- 単一手法・単純構造の小規模評価 — 詳細なマトリクスより簡易な計画書で十分
参加者・体制と成果物
評価担当者(主任評価者+データ収集担当者)。コミッショナーのレビューを経て確定する。2〜5名での作業は計画例です。評価の規模と必要な役割に応じて体制を調整します。
主な成果物
- 評価デザインマトリクス(一覧表)
- データ収集計画書
- 評価チーム役割分担表
実施手順
- KEQ の転記とサブ設問の整理確定した KEQ とサブ設問をマトリクスの第1列に記入する。サブ設問単位で行を設定すると詳細設計に向く。
- 判断基準の記入各 KEQ/サブ設問について「何をもってそれが達成されたと判断するか」の基準(ベンチマーク・目標値・規範的基準)を記入する。
- 指標の設定各サブ設問に必要な量的指標・質的指標を選んで対応させる。両方が必要とは限らず、不要な欄には理由を記す。SMART 基準に照らして具体化し、複数の指標を設定する場合は「主指標」と「補助指標」を区別する。
- データ源の特定各指標を測定するためのデータ源(行政統計・既存報告書・調査データ・インタビュー等)を記入する。1次データが必要か2次データで賄えるかを確認する。
- データ収集方法の選定各データ源に対応する収集方法(アンケート・インタビュー・観察・文書レビュー等)を記入し、サンプルサイズ・対象者・実施時期も付記する。
- 分析方法の指定各データをどのように分析するか(記述統計・回帰・テーマ分析・内容分析等)を記入する。量的・質的データを併用する場合は、統合方法も明記する。
- 担当者・スケジュールの割り当て各行(クエスチョン/指標)に対してデータ収集担当者と期限を割り当て、実行可能な計画として完成させる。
長所と限界
長所
- 評価の全設計要素が一枚の表に統合され、全体の整合性を一目で確認できる
- 複数の手法・担当者がいる評価でも、誰が何をすべきかが明確になる
- 評価クエスチョンからデータ収集・分析まで、各要素のトレーサビリティが確保される
限界
- マトリクスが詳細になるほど作成に時間がかかり、実際の収集・分析との乖離が生じることがある
- 実施中の変化(ステークホルダー交代・データ入手不能等)で修正が必要になるが、更新されないことが多い
- 形式の充実が目的化し、内容の質(判断基準の妥当性等)が軽視されることがある
⚠ よくある落とし穴
- 指標欄に「達成率」や「満足度」だけを記入し、具体的な測定方法が不明確なまま作成を終える
- データ収集方法の欄に手法名だけ書き、サンプル・対象・時期・責任者を省略する
- 問いに質的情報が必要なのに、量的データのみで埋めて収集・分析の設計が漏れる
- マトリクスを作成した時点で評価設計が完了したと思い込み、パイロットテストや事前確認を省略する
適用条件と根拠
- マトリクスの例示項目は、対象の評価に応じて調整して使います。 [1]
利用しやすさの問いを収集計画へ落とす
以下は説明用の仮想例です。相談窓口の受付改善を検討する評価で、必要な記録を特定します。
| KEQ/サブ設問 | 判断基準 | 指標(量的) | 指標(質的) | データ源 | 収集方法 | 分析方法 | 担当者 | 期限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 今の受付方法で必要な人に届くか | 時間帯による未利用理由と対応案を説明できる | 時間帯別の重複を除く利用人数 | 利用をためらう理由 | 受付記録・同意のある住民 | 記録集計・任意の個別面談 | 時間帯別集計と理由の分類を照合 | 評価担当A | 2026年11月15日 |
この例から判断できること
集計と聞き取りの役割を分けると、利用の偏りとその理由を照合できます。時間帯を変えた後の結果も別途確認します。
判断で間違えやすいこと
情報源に「アンケート」とだけ書く
見直し方: 誰にいつ尋ね、どの問いをどの設問で確かめるかを書く
理由: アンケートという方法名だけでは回答可能性を判断できないためです。
全ての行を量的・質的の両方で埋めることを目的にする
見直し方: 必要な情報の種類を選び、不要な欄には理由を記す
理由: 方法の数ではなく問いに適した証拠が必要だからです。
参照資料と確認箇所
- How to Manage Gender-Responsive Evaluation: Evaluation HandbookUN Women · 2015
- 参照箇所
- Tool 8: Evaluation matrix template, p. 138
- 本文との対応
- マトリクスの例示項目は、対象の評価に応じて調整して使います。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「評価デザインマトリクス」. 評価コンパス, 2026-10-06更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/evaluation-matrix/
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更新履歴
- — 問いに必要な指標を選ぶ説明と完成チェックを統一し、体制の途切れ文を修正。
- — 出典に対応した説明へ更新し、手法固有の仮想記入例・判断例と更新履歴を追加。

