ひと目でわかる仕組み
- 空間的な問いを決める
- 位置データを整備する
- 基礎地図と属性を重ねる
- 到達圏・距離・密度を分析する
- 偏りと仮説を検討する
- 地図の読み方と限界を示す
使う場面
- サービス利用者、施設、支援拠点、地域資源の分布を見たい
- 地域差や到達できていないエリアを評価したい
- 自治体・保健・教育・防災・地域福祉の事業評価で空間的な偏りを確認したい
- データ可視化として、意思決定者に地域課題を直感的に伝えたい
向かない場面
- 位置情報がなく、地域差が評価クエスチョンに関係しない場合
- 個人の詳細住所を安全に保護・集計する体制がない場合
参加者・体制と成果物
評価担当者、GIS・データ担当者、現場責任者、個人情報管理者。QGIS等の基本操作スキルがあるとよい
主な成果物
- サービス到達マップ
- 地域別利用率・資源配置分析
- 空白地域と改善候補リスト
実施手順
- 空間的な問いを決めるどこに偏りがあるか、誰が遠いか、資源配置が適切かなど、地図で答える問いを明確にする。
- 位置データを整備する住所、緯度経度、地域コード、施設名などを標準化する。個人情報は必要最小限にし、集計単位を検討する。
- 基礎地図と属性を重ねる行政区域、人口、所得、高齢化率、交通、施設など、解釈に必要な背景データを重ねる。
- 到達圏・距離・密度を分析する施設からの距離、徒歩・車・公共交通での到達圏、利用者密度、地域別利用率などを確認する。
- 偏りと仮説を検討する空白地帯やホットスポットが、需要、供給、広報、移動手段、制度要件のどれに関係するかを検討する。
- 地図の読み方と限界を示す集計単位、欠損、推定、秘匿処理の影響を注記し、地図だけで因果を断定しない。
長所と限界
長所
- 地域差や到達の空白を直感的に示せる
- 資源配置やアウトリーチ対象地域の改善に使いやすい
- 行政データ・施設データ・調査データを統合できる
- 報告書や説明会で、数値表より関係者の理解を得やすい
限界
- 位置情報の精度や集計単位によって結果が大きく変わる
- 地図は相関や分布を示すが、原因を直接証明するものではない
- 個人情報や小地域データの扱いに慎重な秘匿処理が必要
⚠ よくある落とし穴
- 見栄えの良い地図を作るだけで、評価クエスチョンに答えていない
- 件数を人口あたりの到達率と混同しない。目的に応じて件数・率・密度を選び、分母と集計範囲を明示する。
- 個人住所を細かく表示し、再識別リスクを生む
適用条件と根拠
相談利用の件数と利用率を地図にする
説明用の仮想例です。2地区の対象者と利用者を仮想に設定した例です。
| 地区 | 対象者/利用者 | 利用率 |
|---|---|---|
| A地区 | 1,000人/100人 | 10% |
| B地区 | 200人/40人 | 20% |
この例から判断できること
利用件数はAが多く、対象者あたりの利用率はBが高いという異なる情報です。率の地図には分母と対象期間を添え、件数は別表または比例記号で示します。
判断で間違えやすいこと
件数の多い地域はアクセスが良いとみなす
見直し方: 対象人口や必要性、移動条件も確認する
理由: 人口が多いだけでも件数は増えるためです。
住所の点をそのまま公開する
見直し方: 集計と秘匿の単位を先に決める
理由: 支援の利用や属性が個人と結び付くおそれがあるためです。
参照資料と確認箇所
- Normalization for choropleth mapsHeather Smith/Esri · 2025
- 参照箇所
- Video #1: Choropleth maps versus graduated symbols; Video #2; Video #3
- 本文との対応
- 地図上の件数と率を区別し、位置情報の公開による識別リスクを検討します。
- Technical Note on the inclusion of hard-to-reach populations and children in evaluationsSofiya Yuvshanova/UNICEF ECARO · 2025
- 参照箇所
- Executive summary; Table 2: Dimensions of equity-focused evaluations
- 本文との対応
- 地図上の件数と率を区別し、位置情報の公開による識別リスクを検討します。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「地理空間分析・GISマッピング」. 評価コンパス, 2026-09-13更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/geospatial-analysis/
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更新履歴
- — 定義と適用条件の出典を確認し、仮想事例、判断理由、全欄の記入例を追加。未確認の歴史・普及に関する断定を整理。 既存の手順・留意点も点検し、固定的な人数・閾値や制度の一般化を調整。

