ひと目でわかる仕組み
- 設問の設定と参加者への説明
- 個別のサイレント発想(5〜10分)
- ラウンドロビン共有
- クラリフィケーション(明確化)
- 個別投票と集計
- 結果の議論と最終合意
使う場面
- 多様な立場・地位の参加者が対等に意見を出し合える場を設計したい
- 評価クエスチョン・評価基準・改善提案を短時間でグループ合意したい
- ブレインストーミングで声の大きい人に支配されることを防ぎたい
- 匿名投票で客観的な優先順位を決定したい
向かない場面
- 自由な長い対話で新しい視点を深めたい場合は、別の対話時間も設ける。
- 個別に考える時間や全員の順番、秘密を保った投票を実施できない場合。大人数では分割等を検討する。
参加者・体制と成果物
少人数で実施(CDCの準備例は5〜9名。目的と全員の発言機会に応じて人数を設定)(ファシリテーター1名+記録者1名)。1セッション。複数グループで同時実施も可
主な成果物
- 優先順位付きアイデアリスト(投票結果集計)
- 全発言アイデアの記録(フリップチャート)
実施手順
- 設問の設定と参加者への説明「あなたが最も重要と考えるものは何か」という中心設問を具体的に設定する(例: 「この事業評価で最優先すべき評価クエスチョンは何か」)。ファシリテーターがプロセスを説明し、全員が安心して発言できる雰囲気を作る。
- 個別のサイレント発想(5〜10分)全員が黙って、設問に対するアイデアを各自で書き出す。他者の影響を受けず個人のアイデアを最大化する最重要フェーズ。ファシリテーターは発言・会話を禁止する。
- ラウンドロビン共有参加者が1人ずつ順番に1アイデアを発表し、ファシリテーターがフリップチャートに記録する。全員のアイデアが出尽くすまでラウンドを繰り返す。この段階では議論・批判・質問は禁止。
- クラリフィケーション(明確化)リストに上がった全アイデアについて、意味の確認・重複の統合を行う。この段階で初めて発言者が補足説明をし、他者が質問できる。議論は許容するが批判は控える。
- 個別投票と集計投票前に選択数と配点を説明し、各自が他者の票を見ずに順位を記入する。候補数に合う規則を選び、合計点と選択された人数を取り違えないよう集計する。
- 結果の議論と最終合意集計結果に対して最終的な議論・調整を行い、グループの優先順位を確定する。予想外の結果(期待に反した上位・下位項目)に注目することで重要な気づきが生まれることがある。
長所と限界
長所
- 個別の発想、順番の共有、非公開の投票を分け、発言の機会と判断の独立性を確保しやすい。
- サイレント発想フェーズにより、他者に影響されない独自のアイデアが引き出せる
- 1〜3時間で優先順位合意まで到達できる効率性
- シンプルなプロセスで高い信頼性の結果が得られる
限界
- グループ間の相互学習・深い対話・視点の統合には弱い
- 「リストにないもの」が生まれにくく、発散的創造には向かない
- 投票結果が必ずしも最良の答えを指すわけではない
⚠ よくある落とし穴
- サイレント発想フェーズを省略して「最初から挙手で発表」にすると、NGTの最大のメリットが失われる
- ラウンドロビンで「他の人と同じです」と言わせると平等性が崩れる — パスのルールを明確にする
- 投票後に「やはり変えたい」という修正圧力が上位者からかかる場合があるため、匿名集計を徹底する
適用条件と根拠
窓口の改善案を6人で優先付けする
以下は説明用の仮想例です。6人が3案から上位2案を選び、1位2点・2位1点で投票する仮想会議です。
| アイデア番号 | アイデア内容(短縮) | 合計点数 | 選択人数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 電話予約 | 8 | 5 |
| 2 | 夜間枠 | 6 | 4 |
| 3 | 短い案内文 | 4 | 3 |
この例から判断できること
合計18点は6人×3点と一致します。得点は選好の記録で、費用や安全性の審査を代わりに行うものではありません。
判断で間違えやすいこと
最初から自由討論して発言の多い案に投票する
見直し方: 独立した発想と順番の共有を先に行う
理由: 他者の発言に引きずられる前に意見を集めるためです。
最高得点案を検討なしで実施決定する
見直し方: 順位を確認し、資源と実行条件を検討する
理由: 投票が示すのは参加者の優先であり実施条件ではないためです。
参照資料と確認箇所
- Gaining Consensus Among Stakeholders Through the Nominal Group Technique (Evaluation Briefs No. 7)Centers for Disease Control and Prevention · 2018
- 参照箇所
- Defining the Nominal Group Technique; The Four Step Process to Conduct NGT; p.1 How to Prepare for NGT / The Meeting Room
- 本文との対応
- 個人の発想を記録してから意味を確認し、最後に個別投票で優先順位を決めます。 5〜9名を収容する部屋の準備例です。全ての実施条件の最適人数を定めたものとして扱いません。
このページの引用情報
評価コンパス編集.「名目集団法」. 評価コンパス, 2026-10-07更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/methods/nominal-group-technique/
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