参加型・質的アプローチ複雑系システム思考因果ループ参加型政策評価
参加型システムマッピング
Participatory Systems Mapping
別名: PSM、システムマッピング、因果ループ図ワークショップ
関係者とともに、要因同士の因果関係やフィードバックループを地図化し、複雑な事業・政策で介入点や評価クエスチョンを見つける参加型手法。
難易度 上級 ●●●費用 中 ●●●期間 半日〜2日(設計・ワークショップ・整理を含む)
概要
参加型システムマッピングは、複雑な社会課題や政策介入を、関係者が一緒に因果関係の地図として可視化する手法。システム思考、因果ループ図、ファジー認知マップ、ネットワーク分析の考え方を背景に持ち、近年は複雑系評価や政策デザインの現場で利用が広がっている。
評価では、単線的なロジックモデルでは表しにくい相互作用、遅れ、フィードバック、意図せぬ副作用を議論するために使う。参加者は主要な要因を書き出し、要因間にプラス・マイナスの影響線を引き、どこに強いループやレバレッジポイントがあるかを検討する。完成した地図は、評価クエスチョンの設定、指標設計、データ収集の範囲設定、関係者間の共通理解に使える。
✓ こんな時に使う
- 複雑な地域課題や政策で、成果の経路が単線的に描けない
- 関係者の見方がばらばらで、問題構造への共通理解を作りたい
- 事業の副作用や外部要因、相互作用を評価設計に入れたい
- ロジックモデルやToCの前段として、より広いシステムを見たい
✕ 向かない場面
- 短期・単純な事業で、投入から成果までの経路が明確な場合
- 強い対立や権力差があり、同じ場で関係者が率直に話せない場合
実施手順
- マップの焦点を決める何のシステムを描くか、境界をどこに置くか、時間軸をどの程度見るかを決める。
- 要因を洗い出す成果、行動、制度、資源、心理、環境など、変化に関係する要因を参加者から広く出してもらう。
- 因果リンクを結ぶ要因Aが要因Bを増やす・減らす関係を線で結ぶ。根拠が弱いリンクは仮説として印を付ける。
- ループとレバレッジポイントを読む強化ループ、均衡ループ、ボトルネック、影響が集中する要因を探す。すぐ変えられる要因と構造的要因を分ける。
- 評価クエスチョンへ変換する重要なリンクやループについて、実際に働いているかを確認する問いと指標を設定する。
- マップを更新する評価やモニタリングで得た証拠を反映し、仮説のリンクを修正する。地図を固定成果物にしない。
長所と限界
長所
- 複雑な相互作用や副作用を評価設計に取り込める
- 関係者の暗黙知を可視化し、共通理解を作れる
- 評価クエスチョンや指標の候補を、システム構造から導ける
- 発展的評価やToCと組み合わせると、適応的な運用に使いやすい
限界
- マップは現実そのものではなく、参加者の認識に基づく仮説である
- ファシリテーションが弱いと、声の大きい人の見方に偏る
- 複雑な地図を作りすぎると、実務で使えない成果物になる
⚠ よくある落とし穴
- きれいな図を作ることが目的化し、評価クエスチョンへ変換しない
- 要因を増やしすぎて、どこを見るべきか分からない地図になる
- 権力差への配慮をせず、参加者が本音を出せない場になる