評価の実務ガイド

セオリー・オブ・チェンジとは?ロジックモデルとの違いと作り方

セオリー・オブ・チェンジの意味、ロジックモデルとの違い、バックワードマッピング、前提条件、評価への活用方法を解説します。

望む変化から、必要な条件をたどる

各つながりの前提・根拠・外部環境も確かめます。

矢印は逆算して考える順序です。事業の因果関係を証明するものではありません。 本文で詳しく読む

まず結論

セオリー・オブ・チェンジ(変化の理論)は、事業がどの経路で変化につながると考えるかを、前提条件や根拠、外部環境とともに説明したものです。ロジックモデルなどの図を使うこともありますが、矢印を支える理由と、確かめるべき仮説まで整理します。 [1]

セオリー・オブ・チェンジは、社会課題解決型の事業や複数機関が関わるプログラムで特に有効です。単純に活動と成果を並べるだけでは説明できない、長期的・複雑な変化の筋道を扱うためです。

作成の目的は、立派な図を作ることではありません。事業がどの仮説に賭けているのかを明確にし、評価で検証すべき問いを見つけることです。

変化の道筋と前提を整理する

モデルの違いを確認し、変化に至る経路と確かめたい仮説を整理します。

ロジックモデルとの違い

両者に一律の境界があるわけではありません。ロジックモデルは事業の流れを図示する方法の一つで、セオリー・オブ・チェンジを表すためにも使えます。変化の理論を検討するときは、矢印ごとの前提と裏付ける証拠に注目します。

必要な詳しさは事業規模だけで決めず、意思決定で何が不確かかによって選びます。簡潔な図で共有し、重要な経路には文章で理由を添える構成も使えます。

ロジックモデルとの違い
整理する対象書くこと検討する問い
変化の経路活動・産出・変化を結ぶ図途中で必要な変化が抜けていないか
前提と根拠各矢印が成立する理由と資料どこが未検証か
文脈と他の経路外部支援や環境、循環他の説明はないか
[1]

作り方: バックワードマッピング

ここでは、長期ゴールから必要な条件を逆算するバックワードマッピングを提案します。既存事業の実態や先行研究とも照合し、望みだけの経路にならないようにします。

この過程で、事業が直接コントロールできることと、外部環境に依存することを分けておくと、評価で過剰な因果主張を避けられます。

  1. 長期的に実現したい状態を具体化する
  2. その前に必要な中間アウトカムを洗い出す
  3. 中間アウトカム同士の順序と関係を整理する
  4. 各変化が起きる前提条件を明記する
  5. 事業の介入がどこに作用するかを置く
  6. 検証すべき仮説を評価クエスチョンに変換する
実務上の整理・提案

評価で使うときのポイント

評価では、セオリー・オブ・チェンジ全体を一度に証明しようとしないことが大切です。まず重要な仮説、リスクの高い仮説、関係者が判断に使う仮説を選びます。

たとえば「伴走支援を受けると組織内の意思決定が変わる」という仮説が重要なら、研修満足度ではなく、会議体、予算配分、意思決定プロセスの変化を見る必要があります。

  • 仮説を評価クエスチョンに変える
  • 前提条件が崩れていないか確認する
  • アウトカムの時間軸を分ける
  • 定量データと質的情報を組み合わせる
  • 実施中に理論を更新する
実務上の整理・提案

実務で使う前のチェック

セオリー・オブ・チェンジを評価に使う前に、図の中で「事業が直接できること」と「外部環境に依存すること」を色分けしておくと、後の説明がしやすくなります。効果を過大に主張しないためにも、事業の貢献範囲を明確にしておきます。

また、変化経路のすべてを同じ精度で測る必要はありません。意思決定に直結する経路、失敗した時の影響が大きい経路、関係者の意見が割れている経路を優先的に評価対象にします。

  • 長期ゴールが対象者の状態として書かれている
  • 各アウトカムの前提条件が明記されている
  • 事業の介入点と外部要因が分かれている
  • 重要仮説が評価クエスチョンに変換されている
実務上の整理・提案
仮想例・実績ではありません

相談から支援利用へ至る前提を確かめる

説明用の仮想例です。相談支援20人について、申請に進むまでの経路を検討します。

経路必要な条件確かめ方
相談で選択肢を知る情報が本人の状況に合い理解できる本人の説明と相談記録
申請を始める書類・時間・同行などの支えがある申請に進めない理由を確認
必要な支援を利用する制度の対象要件を満たす利用可否と他機関の支援を確認

この例から判断できること

申請に進まなかった理由が書類の準備なら、情報提供だけを増やしても経路はつながりません。条件を修正し、変更後に確かめます。

判断で間違えやすいこと

図を細かくすれば理論が強くなると考える

見直し方: 重要な矢印に根拠と未確認の前提を添える

理由: 細かさだけでは因果の裏付けが増えないためです。

事業に都合のよい経路だけを描く

見直し方: 支援が届かない条件と別の機関による経路も書く

理由: どの範囲に寄与できるかを検討するためです。

次に手を動かす

最も不確かな矢印を一つ選び、根拠と検証する問いを書く

よくある質問

セオリー・オブ・チェンジは日本語で何と言いますか?

一般に「変化の理論」と訳されます。ただし実務では英語のままToCと呼ばれることも多いです。

作成にどれくらい時間がかかりますか?

関係者数、既存資料、論点の不確かさによって変わります。初回に経路案を作り、未確認の前提を調べ、当事者や実施者に確認する時間を別に確保してください。

図だけ作れば十分ですか?

不十分です。なぜその経路で変化が起きると考えるのかを説明するナラティブを添えると、評価や説明責任に使いやすくなります。

参照資料と確認箇所

  1. Magenta Book: Central Government guidance on evaluation
    HM Treasury / Evaluation Task Force · 2026
    参照箇所
    2.2.1 Understanding the intervention(Theory of Changeの説明)
    本文との対応
    因果経路、前提、既存の証拠と文脈を整理し改訂する考え方
    資料確認日: (AI照合を含む)
内容更新: 資料確認日: (AI照合を含む)人の監修記録なし説明用の仮想例あり編集方針・確認範囲このページを引用訂正したい箇所を伝える

このページの引用情報

評価コンパス編集.「セオリー・オブ・チェンジとは?ロジックモデルとの違いと作り方」. 評価コンパス, 2026-09-13更新. https://evalcompass.jun-nakatani.com/guides/theory-of-change/
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更新履歴
  • — 原典へのリンク、定義の適用範囲、仮想の完成例と判断例を追加。根拠のない固定件数・時期の助言を見直し。